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音楽の特性とミュージックケア~音楽は自由だ!~

新年度になり、たくさんの新たな出会いがありました。出会ったばかりの子どもたちと関わる中で感じたのは、「音楽を介することでより、打ち解けやすくなる」「音楽を介することでコミュニケーションがとりやすい」などという、音楽の特性の力。今回は、私が最近勉強した音楽の特性について、私がセッションの中で実感したことを交えながらお伝えします。

今回のお話*****************************

■ 音楽ってすごい

■ 音楽は自由だ!

■ だからミュージックケアは楽しい!

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■ 音楽ってすごい

4月から勤務先が変わりました。はじめましての子どもたち、大人と出会い、関わる中で、音楽を使ったコミュニケーションってすごくいいなって感じました。言葉のない子どもたちでも、楽器を鳴らして返事をしてくれる、私の歌を聴いて体を揺らしてくれる。一緒にきれいな布を揺らして踊る、踊る私を見て笑顔になってくれる。大人も、一緒に歌って、一緒に踊ってくれる。なんだか、仲良くなれた気分になる。ミュージックケアのセッションの中で、既に実感していたことではありますが、新たな場所で、新たな出会いの中で、より、音楽の力を実感しました。

■ 音楽は自由だ!

音楽にはなぜこんなにすごい力があるのか。音楽の特性について勉強する中で分かったこと。一つ目は、「音楽は自由である」ということです。

音楽は、どんな風に感じても、どんな風に演奏してもいい、誰がどんな音楽を聴いても、演奏してもいい、自由なものです。この自由さが、赤ちゃんからお年寄りまで様々な年齢の方と関わるとき、様々な発達のお子さんと関わるとき、力を発揮します。ある方とはゆっくりとしたテンポで、ある方とは楽器を使って。その場その場で曲も楽器もテンポも自由に変化させて楽しめます。

この自由さには二つの大切なキーワードが隠されています。それは、『自己決定』と『人間の尊厳』です。ある曲を聴いて、楽しい!と感じることも悲しい、と感じることも、その人の自己決定に委ねられています。やさしく演奏するのか、激しく演奏するのかも、その人が決めてよいのです。また、「あなたはこの曲を演奏してはいけません」ということはありません。誰が、どんな曲を聴き、何を歌ってもよい。その人の聴きたい、演奏したい、という思いを妨げることはできません。

ほかにも注目すべき音楽の特性はたくさんあるのですが、私が特に実感している特性を4つご紹介します。

①音楽は直接「こころ」に届く!・・・言葉のない発達段階のお子さんとでも、太鼓をドン!ドン!と鳴らし合うことで、交流をすることができます。同じ空間で楽器を鳴らして踊ることで、仲良くなれます。それはお互いに鳴らした楽器の音や、一緒に踊った音楽が直接「こころ」に届くからなのでしょう。

②音楽は人の「美しいものを求める気持ち」や「愛する気持ち」を満足させる!・・・赤ちゃんでも、重い障がいのお子さんでも、好きな音があります。聴くと泣き止んだり、笑顔になったりする曲があります。音楽には、キレイだな、ステキだな、という「美しいものを求める気持ち」「愛する気持ち」を満足させる力があるそうです。このところの一週間でも、「この曲を聴くと気持ちが落ち着くんです」「この楽器の音が好きなんです」というお話をたくさん聞きました。

③音楽はいらいらやもやもやを発散させる力がある!・・・これはみなさんが実感してることではないでしょうか。私は車で熱唱するとすっきりします。思い切り音楽に合わせて体を動かすとスカッとします。「ドーン!」と太鼓を鳴らす、優しくフィンガーシンバルを鳴らす。気持ちがすっきりしたり、穏やかになったり、発散する方法は人それぞれですが、これもまた大きな音楽の力です。

④音楽はコミュニケーション!・・・まさにこの4月、私が経験したことです。一緒に歌ったり、踊ったり、楽器を鳴らしたりする。音楽を介することで、同じことをした者同士、という関係性を発見し、信頼関係を築くことができる。お互いのリズムに同調することで簡単ににコミュニケーションをとることができる。これはほんとにすごいと思います。

■ だからミュージックケアは楽しい!

そんな音楽の特性を利用したミュージックケア。まず第一に、ミュージックケアは、『自己決定』と『人間の尊厳』を大切にします。それが、「ダメと言わない。無理にさせない、したくなるまで待つ」です。この曲は休憩していたい、この曲は思い切り動きたい、大きな音で鳴らしてみたい・・・対象者の思いを大切にして、その方の自己決定と尊厳を大切にします。そんなやさしいミュージックケアという場所が私はとても好きです。

そして、ミュージックケアは集団での活動を大切にしています。ミュージックケアは人と人の関係性の中でこそ、人は成長すると考えているからです。ミュージックケアの基本曲は、音楽の特性を利用し、「発散できるところ」「自分をコントロールするところ」がバランスよく配置され、自然と止まったり、楽器を鳴らしたりしたくなるように作られています。思わず鳴らした楽器、それによって、自分以外の誰かと、同じことをした者同士になる。タイミングよく鳴らせた太鼓の音ですっきりした気分になったり、「誰かと音が合うって気持ちいい!」って感じたりする。そこで、コミュニケーションが生まれたり、成長があったりする。

自分の感じるままに、自分で決めて自分で楽しめる。自分で決めて楽しむと、自然と周りとつながることができる。周りとつながると、世界が広がって、みんなと楽しむ「新たな楽しい」に出会える。これが全部、音楽の特性によって、誰でも簡単にできる!だから音楽ってすごい。だからミュージックケアって楽しいんです。なんだか、次のセッションがより楽しみになってきました。次のセッション、一緒に楽しんでみませんか?

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