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読解 『投資としての読書』 本山裕輔

▼ 要約 ( 1,743 字 )

□ 問い

 本を読んだのにも関わらずその内容を説明できないことを、「費用で終わる読書」と呼んでいる。ここにおける損失は書籍代のみならず、その本を読むのにかかった時間や冊数というものも乗算されて深刻なものとなる。読書を単なる費用に終わらせないために必要なのが、「費用の資産化」、つまり「読書を資産化する」という考え方である。では私たちはどのように読書に取り組めば、読書を、すなわち費用を資産化できるのだろうか?

□ 答え (1/3) 独学の前提

 読書による知識のインプットとは、独学という行為の 1 ステップである。そして独学において重要なことは、アウトプットを前提にする、ということだ。受験勉強と独学を類似のものとして考えるような人たちは、インプットを重ねた結果としてゴールにたどり着く、という考えを持つ傾向があるが、これは誤りである。なぜならば、現実世界やビジネスにおいては絶対の答えなどはなく、「十分にインプットが完了した」状態など到来しない。従って、意識的に設定しなければアウトプットの機会は永遠に訪れない。
 アウトプットを前提にした独学のステップとしては以下が望ましい。

  1. 望むスキルの決定

  2. アウトプットの機会設定

  3. アウトプットの実施

  4. フィードバック

  5. インプット ( 読書 )

  6. 再実施

□ 答え (2/3) 何を読むべきか

 読書、あるいは独学において重要なのはまず「何のスキルを育てたいか」を決定することである。この方向性は「長期的に」というものと「短期的に」という属性で大別できる。
 長期的にスキルを獲得する計画を立てた場合には、色々な本を時間をかけて読み込むというステップを踏むことになる。ここにあまりハックの余地はなく、名著を読み漁るもよし、気になったものを片端から読むのもよしである。
 対して短期的にスキルを獲得したい場合には、「自分が感覚・経験したことのあるテーマ」を選び、「自分の問いをあらかじめ言語化」しておき、「良書を選ぶ」という点を意識する必要がある。

 では「良書」とは何だろうか。世の中の本の属性は、「わかりやすさ」と「深さ」という観点で四象限に分類できるが、良書とは「わかりやすく、深い」本である。
 「わかりやすさ」とは、Why ( 背景 ), What ( 目的 ), How ( 方法 ) の全体像が目次を読んだ時点で理解できるか、である程度判断できる。
 「深さ」とは、So what ( だから何? ) , Why so ( それはなぜ ? ), So how ( どうやって ) という問いに上質な回答を出せているか、で見極められる。

□ 答え (3/3) どう読むべきか

 パレートの法則を読書に適用すれば、本から得られる成果の大半は全体の 2 割の内容からもたらされる。従って、「どうやって本の全体を精読するか」という意識ではなく、「どうやって大事な 2 割を効率よく読み解くか」という意識で読書に臨まなければいけない。このテーマにおいて提案したい方法は 2 つ、早く読むことと、要約すること、である。

 私は私が読書に際して行なっている読み方を、「高速回転並読」と名付けた。「高速」とはその名の通り、スピーディに読書を行うことである。「回転」とは何度も読み直すことである。以下のレベル感で何度も読書を重ねていくと、全体間や主題の骨子は自然と頭に入ってくる。またそれぞれのフェーズで読書のインターバルを挟むことで、非読書時間に無意識が内容を整理してくれることも期待できる。これを以って「並読」と呼ぶ。

  1. 流し読み ( ~ 3 周

  2. インターバル、あるいは別の本を読む

  3. 重要そうなテーマ周辺のみを理解するつもりで読む ( ~ 7 周

  4. インターバル、あるいは別の本を読む

  5. 興味があるテーマを理解する ( ~ 10 周

 読了した書籍の内容は、要約して A4 用紙 1 枚程度にまとめるのが望ましい。なぜならばそうすることで無駄な情報が削ぎ落とされ、かつ活用しやすい大きさの資産として成形し直すことができるためである。
 要約とは「問い」「答え」「根拠」を抑えた上で、文章を短くすることである。ただ短くするだけ、文脈を無視する、文章をそのままコピーする、などは要約する上で望ましい方法ではない。

▼ 図解

▼ 名言抜粋

それに対して「資産に変わる読書」とは、「本で得た学びによって何かを継続的に生んでいる状態」をさします。

こういった「他人よりも時間やお金を割いているもの」「人よりも苦労している経験」をそのまま放置しておくと、ただの「費用」として右から左に流れて行ってしまいます。

「要点」を押さえるうえで絶対に外してはいけないものは「問い」です。「著者がこの本の中で一番答えを出したがっている問いは何か?」「この本を通して、何を解き明かしたかったのか?」を明らかにするところから、要約はスタートします。

▼ 書籍

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