島旅日記ep3 「おれ、暇なんだけどさ」

 あたしがローズマリーで癒されている頃、

隔離生活という名ばかりの上げ膳据え膳のゴロゴロぬくぬく生活を送っていたと思しき旦那デッテは、

慣れない土地での、買い物、家事、子供の世話にひいひい走り回っているあたしを
部屋から呼び止めた。

「ねえ、」
部屋に入っていってみると、薬が効いてよくなってきた顔色をうかがわせながら
「あのさ、おれ暇なんだけどさ。図書館とかいって本借りてきてもらえたりする?」

 図書館は長い上り坂の先にあり、自転車で一時間ほどの街中の場所にある。
ブッチリと何かが切れる音がし・・・
あ~あたしは、この温暖な島に来ても
東北にいた頃とかわらず、切れる速度は変わらないのだなと悟る。
それを見た、デッテ
「ななは、沸点が低いからな~」
って、おまえのせいだよ!という言葉までは、悲しきことに、心身疲弊していた口からは
出てこれなかった。


この記事が参加している募集

育児日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?