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【アニメレビュー】進撃の巨人 Season1 第1話、第2話

今更ながら、進撃の巨人を見始める。話題の作品だったので、見てみたいと思ったが、漫画だと34巻あるので、買い揃えるのもなかなか費用がかかる。しかし、今、Amazon プライムでフルシーズン観れるので、これいいじゃん!と見ることにしました。

まずは第1話から第2話まで見ての感想。

なんか意識高い系の主人公

主人公のエレンはなんか知らんが周りの大人たちと比べても問題意識を持った子供。周りの大人の兵士たちが平和ボケしてる中で、危機意識を常に持っていて将来自分は壁の外に出る調査兵団に入りたいと思っている。

正直、こういう子供がいたらわたしが周りの大人だったらウザいなと思う。彼の言う危機意識は確かに正しいんだが、じゃあどうするのか?というのがあんまり具体的なのがないから、言ってる本人も言われてる側も、最後はぐぬぬとしか言いようがないあまり建設的なやりとりにならなかったりする。

現状の壁の中の街、シナンシナの運営だけでもそれなりに沢山の仕事があって、大人たちは確かに平和ボケと言われるかもしれないが、それをこなしてるからエレン含め街の人たちも今の生活が出来ているんではないか?

エレンを駆り立てるもの

こういうエレンと街の人たちとの間の噛み合わなさはなんなのか?

エレンは何かに焦りやフラストレーションを抱えている。エレンのセリフで「壁の外を知りたい」といった趣旨のものがあった。

壁の外は人を食う巨人がうろつく危険な世界。でも、そこへの興味が彼を掻き立てている。

この第1〜2話の中ではその動機がまだ見えきれていない。しかし、ここに第1話のラストでエレンのお母さんが巨人に食われてしまうという要素が入る。

壁の外への興味に混ざり合う、母の復讐のための巨人駆逐が今後エレンの原動力になるんだろう。

同時に母を失った直後のエレンはどうして最後の母とのやりとりで、くだらない言い合いしか出来なかったんだと自分を責めるくだりもある。

ここまできて、エレンの中にある動機とは、エレンも含めて、街に住む = 安全な壁の中で平和ボケし、本当の問題を見て見ぬフリをして過ごしている欺瞞やずる賢さへのフラストレーションなんじゃないかと思う。

僕たちもシナンシナの住民だ

これって僕たちの実社会でも起こっている。お昼のワイドショーを観れば、芸能人の不祥事を無関係の立場から批難したり、社会で起きる問題には誰かしらを悪者にしてまた批難する。

本質的に起きている問題に対して、自分が何か解決のために行動するわけでもない人たちがただ議論だけの議論を繰り返す。自分たちが平和だからできる、でも確実に何かフラストレーションを持つが故の感情論。

進撃の巨人の世界での最も重要な問題とは『巨人たちをいかに撃退するか』であるはずだが、調査兵団だけがその問題解決にぶつかろうとして、傷つき痛めつけられている。それ以外の人々は自分たちの身の安全のために壁の中に逃げて隠れ続けるだけ。

それでいて、最もらしい理屈だけ上から目線でエレンに投げかけてくる。そんな欺瞞だらけの壁の中の住民たちや結局今何もできていない自分へのフラストレーションがエレンを調査兵団に駆り立てる。

そんな中でついに母親を失うという絶望的に取り返しのつかない火の粉がエレンに降りかかる。

崩れた家屋に挟まれた母親を助けようとしていたエレンを引き剥がし、迫る巨人からエレンとミカサを担いで逃げた兵士にエレンはこう言われる。「お前が母親を救えなかったのはお前に力が無かったからだ」

エレンの中には、こういう取り返しのつかないことが起きる前に本当の問題を解決しなければという焦りをどこかしらで感じていたのだろう。だから、早く調査兵団に入りたいと考えていたのに間に合わなかった。

巨人と戦う勇気

世の中にはびこる問題はあまりにも大きく、複雑なので個人で解決できないことも多い。なのに、容赦なくそれが降りかかってくることがある。

現実社会でも長く続くコロナ禍や、最近ではロシアのウクライナ侵攻などで被害を受けた人たちは個人ではどうしようもないままこの困難に飲み込まれてしまった人たちもいただろう。

この大きな問題へは個人ではなく、多くの人々の力で解決に向かわなければ解決は難しい。しかし、そこには本当の問題を見て見ぬふりをして、あるいは、その場しのぎの解決で逃げてしまう多くの個人がいる。

これを進撃の巨人の世界と対応づけると例えばこんな感じ。

  • 大きな問題 → 壁の外からくる巨人

  • 見て見ぬふりする人々 → 
            シガンシナの街の住民

  • その場しのぎで逃げる人々 → 
            ウォールマリアの中でシガンシナを
            切り捨てて対処しようとする人々

本当は壁の中の住民たちの中にも本当に問題を解決したい心がある。しかし、大きな問題の前で感じる自分の無力さから、どうしてもエレンのように振る舞えない弱さが僕たちにはある。だから、見て見ぬふりをしてしまうんだよね。

毎日の生活で正直手一杯なのに、個人ではどうしようもないような大きな問題に取り組んでも、徒労に終わったり、嘲笑されたり、傷つくこともあるかもしれない。そんなの面倒いし怖いよね。

エレンとは僕たちの中にある、でも奮い立たせるのが難しい、巨人に立ち向かう勇気を持った主人公なんだね。ウザいやつとか思ってごめんよ。

さて、エレンはここからどう立ち向かって行き、どのような結末を迎えるのか?

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