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『拝啓、記憶喪失の君〜前編〜』

1‘

拝啓、記憶喪失の君へ

君は今、何してるの?

どこにいるの?

僕のこと覚えてるかな?

2‘

少なくとも、僕ははっきり覚えてるよ

だって、僕は愛した人だから

君を知ったのは、3年前の5月

大学の3年生だった君と僕

その日の青い空は澄んでいて、大学の裏庭の端で

ダンスサークルの仲間となめらかにダンスを踊る君の姿

3‘

僕はそんな君に一目惚れをした

そして、自分が入っていた軟式野球サークルをやめて

ダンスサークルに入った。

4‘

○「はじめまして。ダンスサークルに入らせていただく、3年の八木○○です、よろしくお願いします」

“パチパチ”

?「こんにちは。私はこのサークルの部長をしている、齋藤飛鳥っていいます、よろしくね○○くん、ダンスサークルへようこそ!」

5‘

君と初めて喋った…

それがとても嬉しくて

でも、ダンスのためのサークルだから

ダンスを教えてもらおうと、君に近づいたけど

6‘

君のダンスのレベルが高すぎて

見てることしか出来なかった

そこに魅力を感じたし

僕ができないことを簡単にこなす君

できないことができるって、魅力的だなって思う

7‘

ダンスサークルの大会があった時

ソロダンス部分を任された君

飛鳥「え、私?」

○「僕は飛鳥のダンスじゃなきゃいけないと思うんだ」

飛鳥「わかった…やってみる!」

8‘

フォーメーションも君がセンター

僕は裏センターだったね、覚えてる?

君は遅くまで残って、ずっと練習してたよね

そのダンス…その練習の成果、凄かったよ

努力が見える体の滑らかさ、真似してもできない体の動き

9‘

僕はそこで気づいたんだ

"君のことが好きなんだ"ってね。

その後の大会も、君の活躍で優勝できたんだよ?

覚えてる?

そのとき、君がね泣いてたんだよ

君の涙、初めて見たなぁ

綺麗な涙だったよ。

10‘

そのあと、僕は君に告白したんだ

そしたら『私でよければ』って…

飛鳥らしい返しだったなぁ

それで、同棲もして

11‘

すごい楽しかったよ

僕ね、幸せだったよ

君も幸せそうにしてて、楽しそうにしてて

僕ね、ほんとに嬉しかったよ。

12‘

それに、これ初めて言うんだけどね。

大学卒業して、君に指輪を渡して

君が好きだったあの場所で

プロポーズしよっと思っていたんだ

13‘

それなのにさ…急すぎるよ

君が事故にあって…

記憶が無くなったなんて…

14‘

“ガラガラガラ“

○「あ、飛鳥?」

飛鳥「…?君は誰?」

○「……」

正直、すごいショックだったよ。

15‘

僕との記憶は無い

その日は、沢山泣いた

必然と君との距離ができてしまった

そして、あれから3年がたった今

16‘

君は何してるのかなって思って

手紙を書いたんだ

改めて

拝啓、記憶喪失の君へ…

"幸せになってください"

八木 ○○

17‘

○「ふぅ…さてと、仕事行くか」

郵便ポストに今の手紙を入れてから

会社に向かって歩いてると…

○「ん、なんか落ちてる…」

18‘

目の前に落ちているのは、ハンカチかな…

○「….あ、名前書いてある」

○「山下美月さん...」

?「あ、あの!これ、私のハンカチです!」

○「あ、そうですか、どうぞ!落ちていましたよ」

19‘

美月「ありがとうございます!助かりました、お気に入りなんです!」

○「そうなんですね、見つかってよかったです」

美月「あっ!もう行かないと!それでは!」

○「はい、それでは」

ちょっと人助け?できたな

よしよし、いいことした

20‘

○「ん、このポスター最近よく見るな、よく見てないけど...って、ん??」

最近、街中で見る子のポスターをよく見ると

"齋藤飛鳥卒業コンサート"

と書かれていた

21‘

○「飛鳥…?」

僕はまさかと思い、すぐに調べた

"乃木坂のエース齋藤飛鳥、卒業発表"

"乃木坂46齋藤飛鳥、ついに卒業"

22‘

○「あ、飛鳥って、アイドルだったの?」

急いで加入時期を調べると

○「2011年…1期生オーディション、合格…」

なんで僕は気づかなかったんだろ…

23‘

○「そっか、飛鳥は飛鳥の人生を楽しんでるんだね…ならいいね…」

記事を読み進める、するとそこには

"2023年に卒業コンサート開催"と書いてあった。

○「…行きたいな…」


24‘

____

25‘

2023年…飛鳥の卒業ライブ…

3年ぶりに見た君は昔より綺麗になっていて

僕は気づくと泣いていた

胸の奥がゆっくりと暖かくなるのを感じた

25‘

~ライブ後~

○「終わったね…飛鳥…」

“‎ピッ…プルルルルル…プルルルルル…カチャ“

‎○『はい、もしもし?どなたでしょうか?』

‎飛鳥『あ、こんばんは、さっきはライブ来てくれてありがとうね』

‎○『ま、まさか…』

飛鳥『どうも、齋藤飛鳥です(笑)』

38’

‎○『飛鳥!!ねぇ、僕のこと、覚えてるの?』

‎飛鳥『ん?…"八木○○君"でしょ?(笑)』

電話の相手はまさかの君だった…

39‘

To be continued

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