見出し画像

はじめまして、書家でアーティストの七澤菜波です。

最近、初めてお会いする方々から"どうして書の世界に入ったんですか?"と聞かれることが多くなり、"ああ、目の前の作品そのものだけでなく、その背景やこれまで経験してきたことを含めて感じようとしてくれている方がいるのかもしれない"と思うようになりました。

知人からの勧めでこのnoteの存在を知り、文章は苦手ですが少しずつでも自分自身の想いや「日常の中のアート」みたいなことなどお伝えできたらと、このnoteを始めてみました。

初回の今日は「なぜ書の世界にのめり込んだのか」について話したいと思います。

書そのものとの馴れ初めは、多くの人と一緒で小学校のお習字の授業の時間でした。その時に先生から褒められたことがとても嬉しく、"もっと上手になりたい"と思ったのが生まれて始めての向上心だった気がします。たまたま祖父が仕事柄、筆で字を書くことが多く、そんな姿を眺めていたことも書に対する愛着に繋がったのかもしれません。
褒められたことが嬉しくて、"また褒められたい"という気持ちだけで書いていた気がします。

そんな私が、本気で書に取り組もうと思ったのは30代後半に経験した大病からの生還でした。毎日続く治療はとても辛く、諦めたくなる瞬間もたくさんありました。そんな中、なぜか書に向かっている時だけはその辛さを忘れることができたのです。
苦しい治療生活から解き放ってくれたのが書でした。そして、書くことが日々の日課になり、やがて子どもの頃とは違う気持ちで書の世界に入り込んでいました。

書はやっていたものの、なんとなく本気にはなれずにいた私が、病をきっかけに、“やっぱり私は書が本当に好きだったんだ”と気づき、この先、ずっとやり続けたいと思えるものに出逢えたことは、とても幸せなことでした。

以来、つねに新しい気持ちで書に向き合っています。
なにもない空間に、一本の線を引く。そこに凛とした世界が現れる。
日々、書の奥深さに魅了され、古典との対話を大切にしています。
同時に、グラフィックデザインの視点で書をとらえ直す挑戦もはじめ、「墨象+書」「写真+墨象」など独自のアートを追求しています。
めざしているのは、女性ならではのやわらかさ、繊細さ、妖艶さをこめた、唯一無二の世界観を表現することです。

ゴールのない世界。
一生、追い続けていきたい。

七澤菜波

2020.10.22

https://nanaminanasawa.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?