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勝手に1日1推し 204日目 「リンダはチキンがたべたい!」

「リンダはチキンがたべたい!」監督:キアラ・マルタ/セバスチャン・ローデンバック     映画

舞台はフランスのとある郊外。母ポレットの勘違いで叱られたリンダは、間違いを詫びる母に、かつて一緒に暮らしていた父のレシピのチキン料理が食べたい!と懇願。しかし街はストライキでお店はどこも休業中!チキンをめぐる母娘のクレイジーなドタバタ劇は、警察官や運転手、団地の仲間たちを巻き込み大騒動に。ふたりは思い出の料理を食べることができるのか......。

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長尺の作品ばっかり見てたし、G.W.だし、毛色の違う作品が見たくなりましてのチョイス。
いいなあ、って思いました。自由だなあ、って思いました。
芸術は爆発だ!って岡本太郎センセもおっしゃるでしょう。
荒いタッチの筆致で描き、野獣派並みの色使いで魅せる!まるで1コマ1コマが絵画のよう、絵本のようです。アートです。
とにかく表現の自由さに驚かされます!メディアも芸術の1つと考えられている土壌にこそ生まれる作品だよなあって思いました。
センスを生かし、感性を信じ、作りたいように作ったって感じがいい。こんなファンタジー最高じゃん!
日本と世界、アニメーションの捉え方がこうも違うんだなって、つくづく面白いなって思いました!

気付けば最近、同じようなものを見ているよなあとか思ったりしちゃいました。アニメとか特に。作画崩壊だなんだ、内容がどーたらこーたらって難癖付けたりとかさ。
おかしいよね、昔からゆる絵の和みの文化だったはずなのに、そこから世界を想像していたはずなのに、アニメ界には完璧を求める傾向にあるのって。自由はどこへいった?!襟を正さねば!

でもそういう次元から解き放たれたところに存在するのが「リンダはチキンがたべたい!」でした。
なんか、もう、違うんだよな。似て非なる存在って感じ。新鮮!
唯一無二のオリジナリティは、私を楽しませ、目の前を明るくしてくれました。見て良かったです。アニメーションの持つ可能性と自由さを思い出させてくれました。
こういう作品が劇場公開されたのも嬉しいですね。

ようはリンダの再生の物語なんだけれど、何もかもがぶっ飛んでて最高なんですよ。
お母さんは鶏盗むし、警察官は自転車で車に追いつくし、スイカは弾むし、パプリカは焦げる。リンダはチキンがたべたい!のです。
笑いもシニカルでさあ、途中からクスクス笑いが止まらなかった!
ドタバタのクライマックスはみんなでチキンを食べて、デウス・エクス・マキナ!!!
とんでもないですよ。なんでもあり!あっぱれ。
これもよし!これでよし!

フランスってさ、THE個人主義だけれど、他人に興味がないんじゃなくて、近しい人には、年齢性別問わず誰にでもしっかり向き合い、対峙する姿勢を持つじゃない?物語の中ではそこら辺に現実味があって、バランスもいいなあと思いました。

で、ラストシーンで思ったんですが、ずっとリンダたち登場人物が遠目だと丸い円で塗られているですが、それって人間を分解していくと分子→原子レベルになるっていう生命の起源をイメージしてるんじゃないかなあと。
だから、生も死も同等に地球規模で命を扱うっていう感じで、大量の分子→原子的ドットにてエンディングを迎えたのかなあと。勝手に解釈して納得しました!
パパの死を乗り越えられたんだね・・・。良かったね、リンダ!チキンも食べられたし。

とにかく、思いがけない沢山の刺激をくれる作品です。配信とかもされなさそうだし(?)是非劇場にて。
にしても、ストライキって大変ね。

ということで、推します。

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