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勝手に1日1推し 191日目 「枯れ葉」

「枯れ葉」監督:アキ・カウリスマキ     映画

愛しき仏頂面×犬!!!好きだ!

北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのだろうか…?

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カウリスマキ監督の新作がやってるの、全然知りませんでした!!引退宣言してませんでしたっけ?駿か?!アナタも宮崎駿だったのか?!って、どちらも新作を作ってくれたら嬉しいので、何度撤回してくれてもいいんですが・・・。

さて、オフビートでシュールな笑いが健在でしたね~。カウリスマキ監督のラブストーリーって本当に好き。
不器用でドライな2人の関係。間や場面転換が絶妙でおかしみがあります!言語表現の少なさから勝手に読み取る2人の心情が意外と熱烈だったりするのとか、本当に面白いなあって思います。

殊に本作に”わびさび”を感じたのは私だけでしょうか?
不当に職を失ったり、真っ当に職を失ったり(笑)、人間の善性が否定されたり、すぐそこで空爆による犠牲が多発していたり・・・
辛く悲しいままならぬ現実の中で、ささやかながらも美しい人間関係が築かれようとしているって、わびさびの世界や~ん!!!ラスト、枯れ葉舞う中2人と1匹が未来へ歩みを進める姿にジーンとなります。本当に素敵でした!

あと、ワンコね。なんでこんなに素朴なワンコチョイスをするんだろう。「浮き雲」のワンコも印象に残っているんですけど、とにかく絶妙なゆる可愛い犬なんだよな。決して名犬であってはならぬのよ!ゆる可愛さこそに癒しと和みが感じられるんだよお。

カウリスマキと書いて絶妙と読むとか、読まないとか。ほんと毎度裏切られることないバランスセンス!絶妙まみれに仕上がっていてアッパレです。

基本、行間作品(?!)だから、いかようにも捉えられるし、見る人によって感じ方が違うと思うんです。正直、個々で向き不向きがあるとは思いますが、作家性に溢れた作品で、物語と共に作品に漂う空気感を味わうことで完成するっていう作風が私はとっても好きなんだよなあ。尺もいい!
ヘルシンキと言えば、マリメッコやイッタラなんかの北欧デザインのおしゃれなイメージがありますが、作品には皆無なところもいいなあって思います。ヘルシンキの、フィンランドの持つ顔は1つじゃないんだよなあってなんだか親近感が湧いて嬉しい気がするのです。冬の長さからくる(のか?)低体温で独特な時間の流れを持つお国柄が存分に味わえて嬉しい気がするのです。

あとね、音楽ね。突然「カラオケ、行こ!」ってなって、狂児かよ!ってなって笑っちゃった。民族音楽とかロックとか、相変わらず良かったです。女の子のデュオ、めちゃ好きだなあ。無表情×シンセ。アートや?!それから「レニングラード・カーボーイズ」が見たくなっちゃいました。

最後になりましたが、何度もラジオから報じられる、ロシア・ウクライナ情勢とアンサが感情をあらわにして叫んだ「ひどい戦争!」も印象的でした。隣国だもんなあ、ロシアは・・・。
あからさまな反戦とは異にしているけれど、戦外の日常に生きる私たちの思いを代弁するかのようなシーンの数々で、強い反戦の意思を感じました。

頭や心で分かるんじゃなくて、感じられる映画って意外と少ないと思いますので、貴重な映画体験をぜひに。
みんなで名監督たちの引退を阻止しましょう!イーストウッドくらいずっと現役であれ!

ということで、推します。

余談ですが、数年ぶりにユーロスペースにて鑑賞しました!
いい感じがしました。懐かしい感じがとにかくいい気持ちで、鑑賞前からうっとり夢見心地でした。ミニシアターってやっぱりいいな。

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