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シリーズ 昭和百景 「戦後・国家地方警察の記憶 大須観音 特飲街の花子」

 86歳(取材当時)になった小野木昌紫は、生まれ故郷の岐阜県各務原市で、好きな歴史の研究に勤しんでいる。朝八時にはすでに三十度を超える猛暑の朝、小野木は白い帽子を被り、私を迎えた。決して大柄ではないが、元警官らしい筋の通った姿勢のよさと、無駄のない端正な口調が印象的だった。室内にいても時折、航空機の爆音が響く。第二次大戦中の軍用飛行場は現在、自衛隊が運用する。小野木はその爆音の下、警官人生の思い出を語り始めた。

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