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雑記:安寧への近道、感情の解像度 #2 自分の心の動きを観察する

感情の解像度の重要性について、前回の記事で述べたところで、実際にどう取り組んでいくのか、恋愛をベースにざっくり3つのステップでお伝えしていく。

1.自分の心の動きを観察する
2.本当に欲しいものの見つけ方
3.感情を受け止めきる

1.自分の心の動きを知る

どこにでもある、ありふれた出来事。女が男と別れた。箸が落ちても転げまわるような10代は遠く、恋愛沙汰の刺激はすっかりすり減ってどこかで見聞きした話となる。それでも、いつだって当人にとっては一大事なのだ。

男は言う、気持ちが移ろうのなんて当たり前だし、何の約束もできない。
女は思う、自分がもっとうまくやれていればこれは起こらなかったのに。

不本意な形の別れは女の心に影を落とす。頭では無理なものだと分かっていた、けれどはたはたと落ちる涙に、ああ、傷ついていたんだ、と自覚させられる。自分は彼の所為で傷つけられたーー

ここで大切なのは、「傷ついた」それだけで終わらせず、限界まで感情の根にピンチインして迫ること。

例えば、こんな感じに。

 ー傷つけられた。
何に?
 ー彼に。
彼はどんなことをした?
 ー相手の心が離れた。
それでどう感じた?
 ー自分のことを弄ばれたと感じた。
弄ばれたと感じてどんな気持ちになった?
 ー裏切られた気分だった。
裏切る、ということは何に期待していた?
 ー自分だけを見て欲しかった。
なぜ自分だけを見て欲しかった?
 ー他の人と比べて欲しくないから。
他の人の存在があるとどうして嫌?
 ーコンプレックスが刺激されるから。
コンプレックスって何?
 ー容姿が劣っている気がすること。

ここにきて、一つ違った見え方が出てくる。自分が傷ついた原因は確かに破局ではあるが、その根にあったのは自分自身の容姿コンプレックス。どうやら自分自信の抱えていた問題で、破局を原因に発露したらしい、ということ。

それはつまり、自分の有り様を変えたら、破局への見方が変わる可能性が高いことを意味する。

例えば、自分の良さがわからない男なんてこっちから願い下げだ、と清々しく送り出すことさえできる。それってちょっと、小気味よくはないか。
何も具体的にモデル体型になれとか、顔の造作を変えろという話ではないから、心持ち一つですぐにできること。
他人や起こってしまった出来事を変えるのはできないけれど、自分の在り方を見つめて、物の捉え方を変えることは必ずある程度の結果に結びつく。

破局した関係を振り返って、あの言葉はどんな意味だったのか、あの時ああしなければよかったのか、と悲嘆にくれるよりも余程進歩的だ。

今回は恋愛を例に出したが、仕事でも、友人関係でも応用がきく。
えてして、最初の感情と出来事がまっすぐ結びついていることはなく、奥底には自身の価値観や感じ方の癖が横たわっており、それが感情を引っ張っている。

と、具体例を出してはみたが、悲嘆に暮れるのが好きな人や、自らが傷つけられた現実に直面する勇気が持てない人もいる。ひどい近視の人が気の進まない人に会う時、しばしば眼鏡をかけずに相対したりする。見たくないものはほどよくぼやけていた方が都合がいいのだ。

しかしそれは誰も咎めない。

何を見て、何を見ないか、は自分で決めることで、その結果は嫌が応でも自ら受け止めるしかないと知っているから。

辛いことがあった時、前に進まないとならないと、みな心のどこかで思っている。けれども立ち止まってうずくまってせめて自分を慰めないと、到底前に進めない時もある。そうしていつか前を向こうとした時に、自分の感情に焦点を当ててみることをしてもらえたら、必ず新しい光が射し込むはずだ。

光は自分の内側にある。
しかも、最初から。

そこで、テーブルの下に落としてしまったピアスの金具を探す時にように、身をかがめて、目をこらして、そんな風に感情の解像度を上げていくことで光を見出すことができる。

…が、これにはちょっとしたコツが必要なので、次は本当に欲しいものを知るためのやり方に触れていこうと思う。

次回、本当に欲しいものの見つけ方。


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