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そうだ、免許を取ろう。1章

『7:00発 特急あずさにて原始人をおもう』

雨の中、彼としばらくまたね。窓デッキにはバイト先でもらったデニッシュパンとジョージアクラフトマンブラック。いつでも新幹線に乗るときは感情が高ぶる。
ナナオロウ、自動車免許を取るべく2週間の免許合宿に行ってまいります。

出発前夜の彼からのアドバイスにより2個早い電車に乗って新宿へ向かったにもかかわらず、朝一から予想通りの焦燥感。最近新宿駅がかなりの変身を遂げたらしく、目を回しながら駅員さんにみどりの窓口の場所を訪ね、無事に切符をゲットした。特急あずさ全席指定席、コロナの最中車内は結構空いているのに私の指定された席の列だけなぜか4席満席。まあ、いい 乗れたらこっちのもんだ。私の気持ちは落ち着いている。あら、おばさんは一人で山登りかしら。ごきげんようをして隣の席に座った。よし、あとはのんびり朝ごパン食って、本読んで、寝るだけ。
のんびりって言っても、ドギマギしている。アメリカ留学以来、初めての長期滞在。初めてのレオパレス。そういやトイレットペーパー付いてるか聞くの忘れたな。食器用洗剤もコップもないのかな、などと確かめておけばよかった不安事項がつらつら頭を過ぎる。

こうして考えてみると、普段自分が気づかぬうちに自分たちは多くのモノを買い揃え、持ち込み、所有して暮らしているんだなあと感じる。原始時代なんか所有=大地みたいなもんだったろうに(それは言い過ぎ)。
狩猟に必要な打製石器を作って獲物を取り、その生肉を食べ、獲物を取りつくしては次の場所へ徒歩移動して、その場で住処を作って火を焚き暖を取り、生きることをした原人。まさに身体一貫。かっこいい。

今の私は、旅行カバンをゴロゴロ引いて新幹線に乗って移動している。でもまだ足りないような気がしている。人類、ずいぶん弱くなったもんだ。

まあ、このことに対する思案のおかげで滞在先への不安感はどこかに漂い、あっという間に滞在先の長野塩尻に到着したのであった。

つづく


私の人生トゥービーコンティニュー
ナナオロウ(2020/7/28 8:30手記)

(参考)移動の進化を振り返る1〜歩いて移動していた時代・・原始・旧石器・縄文・弥生編