次のデザインを作るデザイン

デザイナーという職業は色々細分化されている中、僕はUXデザイナーとかデジタルプロダクトデザイナーと言う枠組みのなかに属しています。

比較的新しい肩書きなわけですけども、英語圏としては、実はあまり新しくなかったりします。
UXデザイナーが誕生してからはもう少なくてもかれこれ15〜20年くらいは経っているかと。
最近は僕のポジションと同じ仕事がしたいと言ってくれる若い子がいたりしていて、そうか、ついに定着しつつあるのか、、と思ったわけです。

しかし、そんな中でふと、彼ら彼女らが一人前になるころには、メインストリームは移り変わってるだろうな、という思いが浮かんできました。

というのも、僕自身が最初に憧れたデザイナー達のやっていた仕事は、今ある種の歴史になってしまっているから。

例えば家具のデザイン。高校時代にチャールズ・レイ・イームズが大好きになりました。プライウッドを筆頭にした新素材を用いた家具のデザインは世界の当たり前を価格・軽さ・製造効率など色んな意味で塗り替えたデザイナーです。いわゆるミッドセンチュリーは居住空間の産業革命みたいな時代だったと思います。その代表格がイームズという印象。家具のデザインはなくなりませんが、同じレベルの社会インパクトを起こすイノベーションが起こるのは…かなり考えにくい。

例えばCIデザイン。1980年代ころが全盛期だったこの分野で活躍されていたデザイナーさんに高校時代に出会い憧れました。組織の「らしさ」をビジュアライズしシステマチックな運用をすることで社内外でのコミュニケーションコストを下げながらブランド価値を高めていくプロセスが明確化された分野。日本の企業が大きく育つ環境下で各企業が求心力を生み出す機能があったのだろうと思います。現在ではブランディングの一部として取り込まれている形です。必要に応じて実行されるでしょうが、CIデザインに投資しようって話があったら違和感が。これもまた、なくならないが社会インパクトを起こす中心地ではなくなったケースだと思います。

例えばFlashサイト。2000年代は本当に隆盛していて僕のキャリアのスタートもこの辺りです。本当に驚くレベルのアイディアとカッコ良さの詰まったサイトがたくさん生まれ、インタラクションデザインのbadプラクティスも含めてアイディアが世界にプールされたムーブメントだったと思います。Flashは消えた訳ですが、インタラクティブな体験というのは分岐して残りました。よりアートな方向に向かったチームラボやThaさんといった方々。情報技術をより実生活やビジネスに根付かせる方向に向かったデジタルプロダクト。こちらの分岐に僕はいる訳ですが。

こうして時代が進むとともに変わってきたことを改めて眺めたとき、自分の仕事に興味を持ってくれた若い学生さん達は、まず間違いなく違う仕事をするだろうなと思う訳です。

社会がイノベーションを必要としてるエリア、技術的にイノベーションが可能になったエリア、そしてビジネスとして成立するエリア。この3つが重なる箇所は今や毎年変わっていってる様に感じます。

デザイナーは自分も含めて、その重なるエリアにアンテナを張りながら、今主流なメソッドやデザインプロセスの何が流用でき、何は壊さないといけないのか。こうしたことを日々考えながら、一つ一つのプロジェクトに向かっていくのだと思います。

不安定に映るかもしれませんが、未来を作るのがデザインの仕事の一部だと思います。デザインを志したときから、誰も分からないことをカタチにしていくのが一緒にくっついてくる。自分たちの職業もその対象だろうなと。

それは次のデザインを作るデザインなのかもなと思った週末でした。

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