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学生もどき。

日本文学の授業で教授から「君たちは生徒ではなく学生だ」と言われた。

高等教育を受けているものは総じてそう呼ばれる。だからこそ責任を持って勉学に励みなさい。

なるほどもっともな意見だ。だけど少し疑問に思った。

俺たちはほんとうに学生なのだろうか?

毎日に変化がない。朝から晩までパソコンと睨めっこは高等教育なのだろうか。

何をするにしても、家から出ることはなく時間だけが過ぎていく。

朝起きて、見せることのない顔を洗って、身支度をして。

いったい何をやっているのだろう。

ここでしかできない学びがあるから、わざわざ大学に入った。

小学生の頃から夢見た舞台。ただ一つを受けるために戦略を立て高校を決め、ただ一つに受かるために全てを尽くした。

 その結果がコレ。

環境を言い訳にするつもりはない。この一年、勉学はもちろん就職活動、スキルアップにも取り組んだ。

オンラインだからこそ空いた時間があった。そこを使って効率的な自分を作り上げていった。

しかし4月。望ましくも対面授業が始まって、思い知った。

圧倒的な情報量。友人との会話。人だかりの忙しなさ。

文字通り次元が違う。たしかに利益を追求する社会人たちには不要なものかもしれない。

だが、俺たちには無駄なことを行える権利があった。謳歌する最後の期間でもあった。

実が熟すためには水だけではだめだ。肥料も必要だ。日光だって。

蛍光灯の光しか知らなければ、それでよかったのかもしれない。

でも知ってしまった。直に流れる感覚を。学生というブランドを。

人生100年時代、そのたかだか20年しかない時間を。

返せよ。オレのアオハル、曇らせてんじゃねぇよ、大人。

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