竜血の契り ー翼よ、光を解き放て #12
「はじまりは……この国の興りにまで遡る。この都より北の山に鋼の鱗持つ竜の一族が、東の山には珠の鱗を持つ竜の一族がそれぞれ棲んでいた。長きに渡り、結ばれることも、争うこともなく……しかし欲深い北の山の竜は唐突に、東の山に攻め入った。美しき珠より硬い鋼の鱗を前に、東の山の竜は苦闘を強いられたのだ。
だがある時、一人の男が配下を伴いこの地を訪れた。背に毒矢を打ち込まれ、今にも息絶えんとしていたその男に、珠の鱗の中でも最も美しい、真珠鱗の竜姫が血を分け与えた。竜の血は癒やしを与える