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「空気が作るブランド」「情報がつくるブランド」「商品が作るブランド」

えいと:なんぼーさん!面白いニュースを見つけたので、なんぼーさんとしゃべりたいです!

なんぼー:いいね。そういうの大歓迎!

えいと:これなんですけど。「匿名宝石店」。

なんぼー:ああ、ちょっと前に僕がX(Twitter)で書いたやつか。

えいと:そうです!それで面白くて気になってたら、CookDoの似たような施策も見つけたんです。匿名で出店してた麻婆豆腐屋さんが、実はCookDoで作られていたっていう!

なんぼー:なるほどね。昔、安いワインのラベルを貼り替えたら国際コンクールで金賞を獲ってしまったという話も聞いたことがあるよ。

えいと:面白いですね!匿名マーケティング……!

なんぼー:考え方は共通しているよね。前提として「人は情報に左右される」し、「ブランドは情報がつくっている」と考えていて、プロダクトに自信があるからこそ、一旦情報を「匿名」という手法で取り外して、本格的なプロダクトの実力を見せるっていう。

今は明らかに情報過多な時代だし、検索結果やSNSもPRにあふれていて、情報をフラットに得ることが難しい。そういう時代背景もあって、「匿名」にしてみるというのは、今だからこそウケる施策とも言えると思うね。

えいと:本当に情報が多すぎて何が本当か見極めるの大変ですよね。以前「デ・インフルエンス」の話をしていたのも面白かったです。

なんぼー:ありがとう、そのとおりだよね。そもそも、ブランドをつくるために、意識しなきゃいけないことが3つあると思っていて。それが「空気」「情報」「商品」かなと。

えいと:ふむふむ。

なんぼー:まずは「商品」。これは大前提だよね。そもそもブランドとして高く評価されるには、商品が素晴らしいことが大前提。だけど、プロダクトがいいだけでは、その良さは広がっていかない。HERMESも、元々馬具を作っていた、という歴史を「情報」として、広く伝えているからこそ、素晴らしい革製品を売るブランドとして認知されているわけだからさ。

えいと:ロゴにも馬が入ってますし、馬具も売ってますもんね!歴史もあるし。確かにそういうイメージが高級感を醸成していると感じます。

なんぼー:それから「空気」っていうのは「なんかイケてる」っていう雰囲気・共通認識で。ただ、「情報」ばっかり出していても、ブランドとして薄っぺらく感じて、内容が頭に入ってこない。なんとなく「気になる」「イケてる」と思ってるからこそ、その情報が流通する。

Appleも持ってるだけで、「なんかクリエイティブだ」「俺ってイケてる」と思うでしょ。もちろん、空気だけじゃ長続きしないから、Appleは「商品」も素晴らしいんだけど。

だから、この「商品」「空気」「情報」をうまくつくってマネジメントしていくことがブランドを育てることには不可欠だと思っていて。

えいと:なるほど。匿名マーケティングは、その「空気」を変える施策だったのかもしれないですね。CookDoは「レトルトだ」という空気があるし、4℃はネットの一部でネタにされていることもありましたし。

なんぼー:そうだね。今は情報過多だからこそ、マーケティングで、どういう「情報」を付与していくか、それによって「空気」を変えるかが大事だと思っていて。匿名にすることで、商品に関する情報を見せられるようになったよね。

ただ、「匿名宝石店」は「ほら、悪くないでしょ?」という問題提起にはなったし、問題提起としてとても良い施策だったと思うけど、一方で、継続的な施策が必要だとも思うよね。今回の施策だけでは、空気は変え続けられない。

えいと:確かに、今回「4℃の商品って良い商品なんだな」と思ったけど、ブランドに関する空気感はまだ完全には変わってないかも。

なんぼー:例えばワークマンは、ブランドを新しく作って、見せ方を変えることで空気を変えたブランドでさ。

えいと:確かに!いつの間にか「ワークマン女子」みたいなワードが出てきました。

なんぼー:そうそう。元々は作業服のブランドというイメージだったし、CMも吉幾三がでていたブランドだったのにね。ただ、元々最初は「ワークマンプラス」という一般向けのブランドを新しく作ったところから始まっていて。それが女性にウケて「ワークマン女子」という言葉が普及して、今は公式がページを作って、ワークマン女子を押し出してるんだよね。

えいと:知りませんでした。似たような事例でいくと、UNIQLOも昔は「ちょっと着ていくのが恥ずかしい」みたいなイメージだったのに、今や誰もが着てますよね。ハイブランドとコラボなどもやっていたからそのうちにイメージが変わったのかな。

なんぼー:JIL SANDERとのコラボとかやっていたよね。だけど、それ単体ですぐにイメージが変わったわけじゃないと思う。積み重ねだよね。あとは定番商品もどんどんおしゃれになっているし。

えいと:それは間違いないですね。定番商品が素晴らしいからこそ、面白い企画をやった時にウケるっていうので言うと、ファミマの40%増量キャンペーンって良いなと思います。

なんぼー:ああ、確かに「商品」の良さがあるからこそ、成立しているキャンペーンだ。しかも、実際は40%よりも、もっと増量していて、それもファミマのブランドイメージに貢献しているだろうし。

なんぼー:定番商品を磨き上げて、定番商品で話題化するのは実はリーズナブルな施策でもあって。新商品開発ってものすごく大変だからね。

えいと:そうですね……!定番商品好きな人は嬉しいし、新商品作らなくても話題にできるならお店も嬉しいし、Win-Winってやつだ!

なんぼー:「商品」はやっぱり大前提だよ。あとは、「情報」でブランド化していく事例だと、「マグロの山幸」って知ってる?

えいと:うーん、なんかグルメアカウントでその言葉、見かけたような……。

なんぼー:そうそう、まさにグルメな人や高級レストランに愛されるマグロの卸売業者でさ。だけどそれがお寿司屋さんの一つのウリになるほど、超有名なんだよね。

えいと:卸売業者がブランド化してるって、珍しいですね。

なんぼー:そうでしょ。その理由は、お鮨屋さんが提供するときに、必ず産地とマグロ一体の値段が書かれた山幸の証明書が提示されるの。お店からしたら、良いものを仕入れているのを可視化しているんだけど、そういう「情報」を可視化して広げていくことで、ブランド化しているんだよね。

えいと:ああ!確かに僕、グルメアカウントでその証明書見たんだ!あれは山幸の証明書だったんですね。山幸のマグロ、食べたこと無いのに知ってるなんて、すごいブランドだ。

なんぼー:あとはやまやの明太子とかも似た例かも。

えいと:確かに!結構「やまやの明太子」って書いてますよね。このあいだちょうど、「やまや」と書かれたぼんち揚を買いました!

なんぼー:美味しそう。やっぱり「やまや」っていうブランド名がついているだけで、同じ明太子でも、シズル感があって美味しそうに感じるよね。裏方でもブランドがコレくらい浸透しているのはすごいことだよ。

えいと:いやー、証明書を見せるって、「情報」の流通のさせ方がうまい!面白いな〜〜!「商品」「空気」「情報」のうまいマネジメント方法、もっと事例探してみよう。

なんぼー:いいね。もし面白いものがあったらまた話そう!

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