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2023埼玉県知事選、投票率全国過去最低

埼玉県知事選挙が昨日行われ、投票率は 23.76% で、全国のこれまでの知事選挙で過去最低となりました。

[NHK NEWS WEB 2023年8月6日 22時28分]

埼玉県の発表している埼玉県知事選挙 投・開票速報
(https://www.pref.saitama.lg.jp/e1701/r5chiji-sokuho.html)
に基づいて計算してみると、当選した現職の大野元裕氏の得票数は 1,138,973票で有効投票数に対する割合は 80.21% と圧勝ですが、県内の総有権者数に対する得票割合は 18.74% と、とても県内の有権者の多数の支持を受けているとは言えません。

これまでで最も低かった全国の知事選挙の投票率は、2011年 (平成23年) の同じ埼玉県知事選挙の24.89%でした。今回自らこれを更新する結果となってしまいました。

大野さんには、ぜひ今回の選挙では県民の圧倒的な支持を得ているわけではないことを踏まえて、これからも県民の意見を広く聞きながら県政を進めていっていただきたいと思います。

それにしても、この低投票率。投票を棄権された人たちは、県政を、総有権者の中で投票したわずか 23.76% の人々の意思に委ねてしまっても良かったのでしょうか?

一般論として、県民の選挙への関心が高いほど、そして、県民の投票行動が現職に厳しい傾向があるほど、現職は次回の選挙で勝つために有権者の立場に立った政策を真剣に考えざるを得なくなると思います。

仮に候補者の当初の施政方針に有権者の多くが一部賛同できないところがあったとしても、当選後に有権者の方を見た政策に軌道修正してもらえる可能性が高まると思います。

仮に選挙結果に大きな違いが無くても、有権者が選挙に関心を持っていることを候補者に示し、また、強く支持できる候補者がいない場合、現職に厳しい投票傾向を示すことで、現職知事に対してプレッシャーを与えると同時に、それでも現職が支持を得るのであれば、現職の方も自分の施策に自信をもって取り組めるのではないでしょうか?

投票率を上げることは県民にとっても、候補者にとっても本来メリットしかないと思います。

候補者、候補者の支持政党、県、そして私たち有権者自身、投票率を上げる努力が大切だと思います。

そして、くどくて恐縮ですが、「国政選挙の比例代表選挙においては政府与党を除く候補者を擁立している他のすべての政党に、選挙区選挙および一般選挙においては現職の長または議員を除く他のすべての候補者に、その実際の有効得票数に比例した割合で棄権票を割り振る」という下記の選挙制度の試案を当てはめた場合、今回の埼玉県知事選がどうなるかシミュレーションしてみました。

今回の選挙では棄権者数が 4,633,241人 (全有権者の76.24%)にものぼります。この棄権票を、現職候補の大野さんを除く柴岡さんと大沢さんに、それぞれの実際の得票率に応じて分配してそれを実際の得票数に足してあげた結果をもとに当落を見ると、今回実際には2位だった柴岡さんが当選することになります。

しかしこれは今回の投票率に基づくものです。もし、かりに今回の候補者3名の実際の有効投票数に対する得票率 (=支持率、大野さん80.21%、柴岡さん12.94%、大沢さん6.85%) が、投票率が変わっても変わらないとすると、投票率が 49.29%以上に上がれば実際の得票が1位の大野さんが変わらず1位で当選することになります。

これは特に現職である大野さんがその施策などによって投票率を約50%以上に上げる努力をするか、県民にご自身の県政実績をアピールして、他の候補者に比べてさらに得票率を上げる努力をする必要があるということを意味します。この点、現職は他の候補者に比べて打てる手が多いので有利とも言えます。

投票率を50%以上に上げることは埼玉県では相当の努力が必要かもしれませんが、以下のサイトによりますと20府県が最近の知事選で50%以上の投票率を達成していますので決して無理な数字だとも思えません。

選挙制度はともかく、私たちはもっと選挙に関心を持って投票率を上げること、そして特に現職に対して選挙の際には厳しい投票傾向を示すことによって、当選者は有権者の立場に立った施策を真剣に執らなければ現職ではいられないということになり、良い緊張感をもたらすのではないかと思います。

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