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日々の安寧 - グランマ・モーゼス展

グランマ・モーゼス展に行ってきました。
80年代〜90年代にかけての田舎生活や風景を描いたモーゼスおばあさん。
アメリカでは国民的存在だそうですが、本格的に絵筆を取ったのは、なんと76歳の時!素敵ですね。
いくつになっても、ただ自然に、やりたいことをやる。
そんな生き方をしたモーゼスさんの作品は「自分の好きなものを、ちゃんと好きでいる」ことへの勇気を与えてくれます。
いきいきとコントラストのきいた色と、クスッと笑ってしまうような力の抜けたタッチに癒されました。

ロウソクや石鹸を作ったり、服を作るために羊を洗ったり、引っ越しや結婚式だって自分たちでやる。
当時は日常的な風景だったのでしょうが、今では考えられません。
しかし「どんな仕事も幸せを増やしてくれるもの」と、モーゼスさんは言います。
その言葉通り、絵の中では、人と人、人と自然が、こともなげにとけあっているように見えました。
現代のように便利な生活ではないけれど、だからこそつねに助け合い、繋がりあっている感覚があったのではないかと思います。

どう生きるかなんて「今日をどう過ごすか」ただそれだけの事かもしれません。
とにかくなにかが不安で、ものたりなくて、今のままではだめだ、と得体の知れない「何か」になろうとしては、疲れ果ててしまうこともありますが。
変化していくことを怖がらないで、なすがままにおおらかに、やるべきことはていねいに。そんな素敵な人でありたいな、と思います。

見出し画像は、モーゼスさんに影響を受けて描いた世田谷美術館前の木々。
この裸の木も、春になればたくさんの緑をまとうでしょう。
季節が移ろっていくそのスピードで、私たちも移ろっていくのです。
それは日々の安寧のため。


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