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プロダクトマネージャーに必要な3つの職能について

はじめに

プロダクトマネージャーの職能については、そこここで語られております。私自身も僭越ながら過去の記事「プロダクトマネジメントの守」の中で様々な方が提唱しているプロダクトマネジメントの基本となる要素についてまとめさせていただきましたが、プロダクトマネージャーという職種に期待される業務領域が広かったり、企業によって求められる能力が異なっていたりします。

このような状況を踏まえて、私自身の"スタートアップ企業における自社プロダクトのPdM”とStartup Studioにおける新規事業開発支援、および自社プロダクト開発のPdM"の各々の経験を踏まえ、プロダクトマネージャーに求められるスキルについて、ポイントを絞ることができればと考えております。

一般的に言われるPdMの役割

プロダクトマネージャーの職責を表す上で起点となる考え方として、登場したものが2016年にDan Schmidtさんが考案したThe Product Management Triangle (by Dan Schmidt)です。翻訳されている記事もあるのでご覧ください。

ここで言われている考え方としては、プロダクトを中心にして、開発(Developer)、ビジネス(Business)、ユーザー(User)と各々ステークホルダーいる中でその埋め合わせをするのが、PdMの役割であるということです。この記事では、トライアングルの各頂点を繋ぐ隙間にプロダクトを成立させる上での様々なジョブディスクリプションが記載されているのですが、少々難解であったり、企業によって求められるジョブディスクリプションが異なっていたりするため、日本国内では各企業向けの書き換えにチャレンジしている記事を多く垣間見ることができます。

また、他方では、ProductZineの中における「プロダクトマネジメントの基本を学ぼう 第7回『プロダクトマネージャーに必要な能力とは何か? スキルセットの全体像を解説』」の中でプロダクトマネージャーのスキルセットを木の幹と葉に喩えて、解説している記事を参考にすることもできます。
この記事の中では、木の葉となる部分が「プロダクトを事業として考えるスキル」、「ユーザーを観察しインサイトを得るスキル」、「テクノロジーに関するスキル」を指しております。いずれもテクニカルスキルに該当すると思います。そして、木の幹となるものが「チームを牽引するスキル」になります。こちらはプロジェクトマネジメントにおけるリソース管理のテクニカルスキルに加えて、対人関係を構築するためのヒューマンスキルが必要になると考えられます。

木の葉(テクニカルスキル)

  • Business acumen skills

  • User & Market Insight skills

  • Technical skills

木の幹(テクニカルスキル、ヒューマンスキル)

  • Team & Collaboration skills

過去の経験を踏まえて

私がPdMとしてのキャリアをスタートさせたリテールテックベンチャーや現在所属しているStartupStudio、どちらの環境においてもPdMのあるべき姿は一定程度理解が進んでいる印象でしたが、実態の役割としては、"自分に強い意志がない限り"は、PjMという領域を抜け出すことができない(なかった)ように感じます。

どちらの組織にもユーザーと向き合う役割(営業など)の人がいて、その人がユーザーから仕入れた声を我々PdMに繋ぐような役割を担っておりました。こういった方達は、人によって、テクノロジーに明るくない人もいるので、ユーザーからの声をそのままの形で受け取って、それをPdMが、ニーズ→ニーズを解決する価値→価値を体現するソリューションという形に変換し、最終的にどんなUI/UXにするのかを決定する、という流れをとることは、一般的によくあることだと思います。

しかしながら、作成したデザインなり機能仕様などのアウトプットに対して、PdMが"意志を込めて"ロジカルに説明することができないと、周囲の共感を得ることができず、結局のところ、顧客と向き合っている営業サイドの意見に飲まれてしまうことになってしまいます。

それで出来上がったプロダクトは、直接向き合っているクライアントにとってはよいかもしれないですが、会社やプロダクト自体のビジョン、市場・ユーザーのニーズ、テクノロジーなどと勘案した場合における、プロダクトとしての一貫性が持てないものとなる懸念があります。

プロダクトマネージャーに必要な3つの職能

ここまで「一般的に世間で言われるPdMの役割」と「過去の経験を踏まえた個人的所感」を踏まえ、PdMとして活躍するために必要な職能を大きく3つに大別してみました。それが以下になります。

  • 計画を立て、その計画をロジカルに人に説明できること

  • 計画を実行できること

  • 自分の専門領域を持っていること

「計画」と「実行」。もう少し格好の良い言い方をすると「戦略」と「戦術」のような言い換えもできるかもしれません。ゴールを立てるのが上手い人とゴールに向かってどのようにたどり着くのかを考え実行することが上手い人、それぞれいると思いますが、この両方を兼ね備えた人はなかなかいないと思います。ビジネスに置き換えると、企画職に近い人が戦略を考え、営業職や技術開発職が実行するような役割分担が一般的かもしれません。

PdMとしての理想は、その両方を持ち合わせていることが役割を全うする上で重要な要素であると考えます。

とはいえ、全てを満遍なく網羅することは並大抵のことではないですし、各々の業務ドメインを専門的に経験してきた人と並ぶことなど到底できません。逆にすべてを完璧にしようとすると、中途半端に"各領域の橋渡し役"に留まってしまいがちです。

私自身も同じような苦い経験をしてきてきて、「結局、自分は何者なのか。」と考える時期がありましたが、こういった悩みを抱える背景としては ”自分は何のプロなのか” ということが言えないからだと思いました。

"自分は何のプロなのか言える = 自分の得意な専門領域をもつ" 

ということは、正直なかなか難しく、もちろん好き勝手宣言すればそれでおしまいかと言うとそうではないと思います。自分の今までの経験と学習の積み重ねでその領域に対する理解の厚みが増し、他の人には出せない価値を出せる、そして、周りの人にその価値を認めてもらう必要があります。

前述のような難しさはありますが、"自分の得意領域を持つ"ことで、PdMとしてプロダクト全体に責任を持ちつつ、特に自分の得意領域に対する責任感が増すと思いますし、やりがいにも繋がると思います。そして、結果として、"自分が何者かを説明できることがキャリアに厚みを増幅させることにも繋がる"と思います。今までの経験を元に自分の得意領域を定める、もしくは自分が何が好きでどのよう領域に注力していきたいのか、そういったことを考え定めて、OJTやOffJT(自己研鑽)を実施していくことを推奨したいと思います。


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