短評:エイゼンシュテイン2本「アレクサンドル・ネフスキー」、「メキシコ万歳」

早稲田松竹にて、エイゼンシュテイン監督特集のうち2本を観る。

「アレクサンドル・ネフスキー」1938年。13世紀、ゲルマン人侵略を退けたネフスキーの戦いを描いた史劇だが、当時のナチスドイツの脅威を下敷きにしているという。大人数での戦闘シーンが圧巻。ゲルマン人の甲冑が悪役として分かりやすく、特撮戦隊ものの悪役(仮面ライダーXのキングダークなど)の遠い先祖のように思える。

「メキシコ万歳」メキシコの歴史をオムニバス的に描く大作になるはずであった1939年の未完成作品を約50年後に再編集した作品ということで、あまり期待していなかったが、農奴が叛乱を起こして処刑されるエピソードなど見応えがあった。制作にはディエゴ・リベラの協力があったと言及されており、当時1ヶ月もメキシコに滞在したエイゼンシュテインと、メキシコ革命後のメキシコ壁画運動とのつながりが示唆されている。たしかに、農奴の処刑シーンなどは、シケイロス描くところの男の半裸像(劇画「聖マッスル」の元ネタみたいなやつ)を思い出させる。