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【詩】牡丹の沁み 雪景色と年賀はがき

タツノオトシゴとかまぼこ板が
元旦に遅刻して 旧正月に出す余寒見舞い
小さな郵便局へと歩く道は
この地で初めての雪景色

自販機ミルクティーのぬくもりに甘えて
見上げる星空
誰も待ち望まない
迷惑で常識に欠けた年賀はがきを
何度ポストに食らわせたことだろう

使い道がない花梨を拾った
温泉街の灯を眺めれば
脳裏に浮かぶは
足元にまとわりついた
幼子をなだめる女(ひと)の
着物の袖からのぞく
牡丹の花のような痣

車の傷より安く見積もられた性と生
どこにでもいる普通の顔して
公正世界に合わせ
荒んだ心で露呈した歯肉

生き恥晒すこと恐れる世界でも
呆れ顔隠しきれない人の優しさに心が動いて
やんわりと否定された残り香を嗅ぎながら
今日もしぶとく生き延びる私

「せめて3月には桃の花を眺めながら
フルタイム雇用を伝える手紙を出したい。」
そう願って吐く息は白い






















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