【詩】ひとり身キャンドル
師走の北風小僧を玄関に連れ込んだ瞬間
足に飛びつく小さな気配
「会いたかったよ〜」
お迎え行ったら
先生と喧嘩してご機嫌ななめ
新しい風船もう一つ貰い
笑顔を取り戻したら
急かし始める帰り道
車の振動と同じリズムで
寝息を立てる姐御を尻目に
つきまとう黒猫を恐れる背中と
夜中に起きたトイレで
サンタに遭遇したら
どうするかの作戦会議
クリスマス会の欠席を
残念がる子らが愛おしいから
恋風邪ひいて
明日の仕事が疎かにならぬよう
君との朝帰りに食べるお茶漬けはお預けして
職場で貰ったチキンをひとりでレンチン
少しくらい淋しくても
深夜に弾き語るケーキ職人には
恋を型にはめ込まない僕の方が
ベツレヘムの羊飼いみたいに
カッコよく見えるかもしれないし
SNSで君の心の鍵が解かれるまで
理性を保つために灯すキャンドル
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