台湾の「神様の診断」が面白そうな話
こないだ偶然見かけた、旅番組。台湾の特集でした。
台湾と言われて私がイメージするのは何と言っても「食」。
小籠包は絶対食べたいし、魯肉飯も気になる!夜市で食べ歩きもしたい!
もちろんそれは確かなんですが…
その特集の中で、私のニッチアンテナが反応したのは「神様が診断」してくれるというお寺でした。
体の不調を感じたら、普通どうする?
みなさんは、なんか調子悪いなと思ったらまずどうしますか?
すぐ病院に行く?
症状をネットで検索してみる?
私はだいたい後者で済ませてしまいます。
最近は症状などを入力していくと、AIが簡単な診断をしてくれるサービスもありますよね。
結局は、ちゃんと早めに医療機関を受診すべきだとは分かってるんですが…
私の不調は9割運動不足や睡眠不足からくるものだという自覚もあるので、なかなか病院に行くまで至りません。
ていうか、そもそも病院に行くのって結構ハードル高くないですか?
診療時間はだいたい平日の仕事中に終わってるし、土曜はだいたい朝しかやってないし(夜型人間にはムリ)…
そこで(というわけではないと思うけど)、台湾の南部、台南市には「神様」が診断してくれるお寺があるらしいのですよ!!!
面白そうじゃない?!
"神様"に診断してもらう、とは?
台湾の人たちって元々信仰心が篤いらしく、いたるところに寺院があるんだとか。
私はまだ訪問したことがないので知らなかったんですが、行ったことある方、実際そうなんですか???
宗教分布の多くを占めるのは仏教、道教、キリスト教ですが、その他にもイスラム教やバハイ教などいろいろな宗教が広まっているそう。
そして、冒頭のお寺とは道教の寺院「興済宮」です。
スポットとしては「大観音亭興済宮」といって、仏教のお寺「大観音亭」と2つのお寺がくっついている場所のようです。
ここからもいろんな宗教が共存している様子が分かりますよね。
興済宮には健康や医学の神様である「保生大帝」が、大観音亭には恋愛の神様「月下老人」がそれぞれ祀られています。
なので、神様に診断してもらえるのは「興済宮」らしいのです。
とはいえ、信仰というものに馴染みの薄い私の感覚では「神様が診断??こう気をつけろってお告げを聞くってこと??それってこちらの主観入ってこんか…??」と疑いたくなってしまうわけ。
でもね、その手順を見ると、意外と(失礼)体系立っていて面白いかったんです。
ざっくり簡単にですが、流れを紹介します。
1.お線香で脈を聞く
まず長いお線香に火をつけ、手首あたりに乗せます。
もちろん燃えてるところじゃなくて、そのちょっと下を当てる感じ。火傷しちゃうからね。
このお線香を通して、神様が脈を聞くんだそうです。
で、線香の先の灰がポトッと落ちたら診断終了。
…ん?ん?ん?
診断結果は?
と思いますよね。まだ続きがあるのです。
2.おみくじを引く
その横に、体の悩みごとに分かれたおみくじがあります。
番号の書かれた棒が入った壺があって、それぞれ「運籤」「大人内科」「眼科」「外科」「小児科」と分かれています。
で、この中から自分で「どれにしようかな🤭」と選ぶのではありません。
一旦、すべての棒をガサッと混ぜて、一番高く飛び出たのを引くらしい。
先ほどのお線香を通した診断が、ここに反映されるということなんでしょうね。
なんだか妙にここで「え、めちゃくちゃ合理的!」と腑に落ちてしまった私。
よくよく考えれば根本は同じかもしれませんが、だって、自分で選んで引くときって、
「パッと思いつきで引くぞ…いや、こうやって一瞬考えた時点で思いつきじゃないな…もう一回仕切り直して…」
って感じで、どうしても邪念が入ってしまいませんか?私だけ?
でもこの、一番高く飛び出たのと決められていたら、まあ複数飛び出たとしても何回かやれば必ずその一本が決まるじゃないですか。
今度、いっぱいの中から引く系のおみくじに出会ったら、一番飛び出てるヤツを引くようにしようかな。
と、少し脱線してしまいましたが、この後は、棚に並んでいるおみくじの中から、先ほど引いた番号のものを取り出します。
「ほうほう、そこに診断結果が書いてあるのか…」と思った方、チッチッチ😏まだ続きがあるのです。
3.漢方を処方してもらう
そう、そこのおみくじ、書いてあるのは診断結果というか「漢方薬の処方箋」らしいのです。
それを薬局に持っていくと、漢方がもらえるということ。
……
…………
えええ~~~~~~?!
そこまでしちゃっていいんか~~~~?!
なんかよく分からんけど法律的に大丈夫なんか?健康被害とか出んのか?
といろいろ心配になりますよね。
まあでも、市販薬みたいな感じなのかな?それか最終的には、薬局の薬剤師さんが指導するのかな?
いずれにせよ、思った以上に体系立った流れがあって、最初に私が抱いた疑念がかなり覆されました。
ガチで診断だった…面白い…
医学的根拠うんぬんはあるかもしれませんが、きっと古代はこういう方法が普通だったわけじゃないですか。台湾に限らず、どこの国・地域でも。
そう思うと、医学の発展ってめっちゃ奥深い……!
今日のスポットはコチラ
今日ご紹介した大観音亭興済宮は、台南の駅からまっすぐ伸びるメインストリート、成功路にあります。
駅を背中にして、成功路を5~10分ほど歩くと右手側に見えてきます。
ちなみに、台南は台北から高速鉄道で片道5,000円ほど、1時間半ちょっとで着くそうです。
日帰りでも行ける距離ですが、どうやら涼しくなる夕方からがより街が賑わうっぽい。夜市で食べ歩くのも人気らしい。
なので、一泊するのがいいんじゃないでしょうか。
台北と台南、一泊ずつすると対比できてより楽しそうだし!
台湾自体、日本からも近いし安いし…私の近々行きたい場所リストの上位に常にランクインしています。(一向に行けてない謎)
実は台湾にはアレがない
最後に小話的に書いておきたいこと。
世界遺産検定を目指している私は、ここまで世界遺産モノしか投稿していなかったので、今回も?と思われたかもしれませんが、
この大観音亭興済宮は世界遺産ではありません。
というか、実は台湾には、世界遺産自体がないんです。
その理由は、台湾が正式な「国」として認められていないという、複雑な背景にあります。
というのも、以前、世界遺産の定義について超ざっくり書きましたが、その登録には条件があります。
世界遺産のもろもろは「国際連合教育科学文化機関(通称ユネスコ)」の管轄で、世界遺産条約もこのユネスコで採択されています。
ただ、国際社会から正式に国と認められていない台湾は、国連にも、その下部組織であるユネスコにも加盟することができません。
厳密には、ユネスコに加盟していなくても、世界遺産条約に締約さえしていれば、世界遺産の登録申請は行えるのですが、
中国との関係を考えると、あまり現実的ではないでしょう。
台湾は自国の一部だと主張する中国が、自国の遺産として台湾の遺産を登録申請してしまうのも、手続きとしては成り立つのかもしれませんが、
台湾からしたら、納得できることではないでしょう。
こう考えると、正直、あまりピンときてなかった外交問題が、急に具体的に感じられます。
最初は「神様が診断」というワードに、単純な好奇心がそそられただけでしたが、そこから芋づる式に調べて実感した、台湾の抱える問題。
世界を知っていくことの本質って、たぶんこういうことなんですよね。
思わぬところで点と点が繋がって、理解がまた一歩深まる。その地道な繰り返し。
みなさんも、何か異国のものに興味を持ったら、ずんずん調べてみることをおすすめします。
どんな小さな疑問でも、必ず何かしらの学びや教養に繋がるはずやでい!
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※記事内の情報については、できるだけ正確に記載するよう努めますが、詳しい最新情報は各公式サイト等をご確認ください。
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