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学校に行きたくない!と思ったときに読む本vol.2

 こんにちは。菜のはな書房です。
 学校に行きたくない!と思ったときに読む本、第2回では

「オーダーメイド殺人クラブ」辻村深月(集英社)を取り上げます。

あらすじ
「赤毛のアン」が好きな母親に「アン」と名づけられた中学生の小林アン。本当は自分が「中二病」だと自覚がありながらも、クラスでつるむ芹香たちにはそのことをひた隠しにしている。そんな折、同じクラスの「中二病」を隠さない男子・徳川との奇妙な交流が始まる…。

この作品のテーマのひとつは「アイデンティティの受容」だと思いますが、主人公は「中二病」である自分を自分で受け入れることができません。明らかに「中二病」の素質がある(人形の写真集を見たり子どもが亡くなった事件や事故の新聞切り抜きを集めたり)にも関わらず、そのことを否定的に捉えています。
 そんな中、絵画コンクールで「中二」センスを発揮した男子・徳川を同じ中二病クラスタと認定し、ある計画を持ちかけます。本来交わらないはずの「リア充」女子と「非リア」男子の、交流と衝突が繰り広げられるのでした…。

 作中で主人公が「ハブられる」原因になった発言は、「ハブり」(仲間はずれ)という現象も含めて、「無宗教」である日本でアイデンティティ確立を果たすことの難しさの象徴でもあると思います。
 現役中学生はもちろん、かつて「中学生」だった大人にも読んでほしい小説です。

こちらの記事でも「アイデンティティ確立」のための本を紹介しています!

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