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学校に行きたくない!と思ったときに読む本vol.4

 こんにちは。菜のはな書房です。
 学校に行きたくない!と思ったときに読む本、第4回のテーマは

「『自分らしさ』を手に入れるまで」

と題して

木元奏太「元女子、現男子」(KADOKAWA)

井手上漠「normal?」
(講談社)

を紹介します。

「元女子、現男子」木元奏太(KADOKAWA)

あらすじ
「元女子」を公言するトランスジェンダー男性・木元奏太のエッセイ。
幼少時の性差への戸惑いや違和感、思春期〜大人になるまでの葛藤をそのまま語っている。性別適合手術を受けると決意するまでや家族へのカミングアウトなど、トランスジェンダー当事者の生の声を知ることができる。

 出生時の性別は「女性」だったけど性別適合手術を受けて「男性」に戸籍変更したトランスジェンダー男性当事者の著者。性別に対する違和感が「自分だけなのか」という問いに悩んだ中高生時代、大学でのいろいろな人との出会いや変化、やがて「自分らしさ」を得て生きられるようになるまでが綴られています。
 保育園に通っていた頃、ピンク色の服を着せられるのが嫌で泣くほどだったとのこと。幼い子どもでも「性別」に対するアイデンティティの確立が重要であり、家族の理解や映像作品に憧れて最終的にYouTuberとなった道のりがよくわかります。
 小学校高学年にもなると友だちとの遊びや交流が男の子と女の子で分かれやすいため、その中で絵を描くことによって友だちグループの関わりを切り抜けてきた経緯など、「学校」での過ごし方について当事者だからわかることがヒントになるかもしれません。

「normal?」井手上漠(講談社)

あらすじ
モデル、タレントなど活躍の場が広がるマルチクリエイター・井手上漠のフォトエッセイ。「男の子」として生まれるが仮面ライダーよりプリキュアが好き、メイクやファッションも自分らしさを表現する、「個性」を軸に生きてきた著者。オリジナルのメイク指南コーナーや出身地・海士町で撮影されたショットもありファッションなどの面でもお手本になる。

 こちらは、「男性」として生まれたけどメイクなど「女性らしい」とされがちな領域で活躍するクリエイター、井手上漠さんのフォトエッセイ。幼少時は「男の子なのにかわいいものが好き」という性質を抱えて周囲との関わりに悩んだものの、家族の支えや自分なりのアプローチを手に入れたことによって羽ばたいた才能の片鱗がわかる本です。
 高校生の頃に学校の制服が性別で分かれていることに対する疑問から、性別による区分ではない選択を可能にする校則に変えるなど、自分の考えを持ち行動してきた様子が書かれています。このような変化は徐々にこれから他の都道府県でも中高生による学校改革の一助になるのではないかと思います。同じような疑問や悩みを持つ中高生はぜひ読んでみてください。

学校に行きたくない!というより、どのようにしたら行きたくなるようになるのか? それは自分のスキルを高めるだけでなく、学校の側を変えてしまうことによってだってできるかもしれません。「個性」や「性差」に悩んだら、ぜひご一読を。

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