泣くのは弱いからじゃない

私は俗に言う泣き虫で、やな奴かもしれない。家族の前で、私はそんな人になる。

 相手に真剣なことを聞かれた時、口で伝えなきゃ分からないことなのに、どうも出るのは涙ばかり。
 「黙っていても分からない」
「なんの涙なんだ」

 そう何度も言われたが、答えなく。ただ泣く。そんなやな奴だ。

 でも、本当にただ話せないのだ。口から声が出ないのだ。自分の気持ちを言わなければ、相手には伝わらない。言わなければと思うほど、言えといわれるほど、口は固く閉じたまま、ただ涙するのである。

 私と同じような人はいた。一人の女性曰く、過去に自分の意見を否定や拒絶された人は、本音を言おうとすると泣いてしまうだとか。そのために彼女はそれを手紙という文章にして相手に伝える努力をしているそうだった。

私の涙に理由などない。
ただ、言ったら必ず相手は怒るから。私のひねくれた考えにきっと私は言い返されてしまう。だからといって黙っているのは良くない。ただ怖いのだ。怖くて怖くて仕方ないのだ。

そんな心のざわつきやら恐怖が気持ち悪くて仕方なくて。泣く。

そんな気持ちをここに文として書こうと思う。

泣くことは弱いんでもなんでもなくて、ただその人の性質。私は心の乱れが気持ち悪くて、心臓がどくどくヅキヅキする感覚がどうしても嫌いで。泣いたり引っ掻いたり。

ここ数年で、私はリストカットする人の気持ちが何となく理解できるような気がした。彼らとよく話したわけでも、詳しい訳でも無く。

 擦り傷や打撲なんかは痛みがわかる。冷やすなり止血なり、対処の処置や原因が分かる。心の痛みは分からずとも苦しめる。この痛みの原因なんかは大抵はひとつじゃない。私はこの心の痛みが嫌で仕方ならない。分からない不安が恐ろしいのだ。だから体への原因の分かる痛みへと変えるのだ。

 何が言いたいかが分からなくてなってしまったが、そんな気持ちと。
 泣くことは弱い訳でも無くあなたが何かを伝えようとする心の動きなのかもしれないということと。
 心の痛みとは、原因の分からない不安により強く染みるということ。

 これだけは伝えたいのでもう一度。
涙の理由を聞かないで。


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