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無言の向こう側

私の仕事は札幌軟石という石を
素材として雑貨を作っています

家型のアロマストーンがメイン商品

札幌軟石はもともと建材
小さな端材を雑貨にというのは
当時あまり作り手がおらず
女性が石を扱うということもあり
珍しがられました


最初はそれが商売になるのか?
本気でやるのか?など
周りから好機の目で見られることも
よくありましたが
軌道に乗り話題になり始めると
いろいろな事業所や人が

「うちも軟石で何か作って売りたい」
と見学に訪れました

話を聞くと薄っぺらい気持ちが
見え見えなんです
目新しいし売れたらラッキー的な

実際工房を見せると
石をカットするために必要な環境
常に石の粉まみれであること
洗う乾かすの工程などなど

簡単だと思ったのに、、、
って顔に出て
2度と来ないし
実際始める人も居なかった


そんなのが重なり
見学を案内するのにも疲れていた時
1人の女性がやってきた

数年前にも
「軟石でアクセサリーを作りたい」
と問い合わせをくれて
端材をお届けしたことがある方だった

彼女はどうしてもあきらめきれず
やはり挑戦したいと言った

工房を案内して道具の使い方を
説明して石の仕入れ方を伝えた

ただそれだけだった
何も教えてなんかいなかった

さらに数年して彼女から再び連絡があり


見事に札幌軟石と道産の木を
組み合わせたアクセサリーを
完成させブランドを立ち上げた

どれもクオリティが高く
軟石の価値をぐんと高めた!

私は感動して彼女に心からの拍手喝采


正直繰り返し訪れる見学者に
嫌気さえさしていたが

彼女は正真正銘の本気の人だった

彼女を見て思った


やりたいことが見つかったら
誰に何を教わらなくても
手探りでも突き進んでいくのが
本気の決意、本気の情熱だと

彼女をカッコいいと思った

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札幌軟石で何か
小物を作りたいという人が
私のところに挨拶に来る


私は軟石雑貨を牛耳っている
つもりはないのだけれど
お伺いをたてないとヤバいみたいな!

アレの世界みたいじゃん(笑)
「誰の許可で軟石つこうとるんじゃぁ?!」
みたいな(笑)

そういうのおかしいでしょ〜
そんなの必要ない

たとえば世の中には木を使った作家
木工作家さんがたくさんいらっしゃる
似たような作品も当然生まれる

それと同じように軟石を
ひとつの素材として考えたら
誰の許可も必要ないし似たような
物が生まれたっておかしくない

むしろ軟石を使う事がみんなの
選択肢に入ればいいのにって思っている


どんなにDIYが盛んになり
道具や素材が市販されていても
その道のプロが全滅するわけじゃない


プロはさらに高みを目指すべきってだけだ

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アイディアとかデザインを
持ち込んで大量に作って欲しいと
言われるのは承らない

大抵こう言う

「たくさん頼んだら安くなりますか?」

オートメーション化された工場ではない
手間暇は同じだけかかる

一度でいいから手を動かして作ってみてから
安くなるか考えてほしい
儲けたければ自分でどうぞ

って思う

あと

「軟石の作品を作ってみたので
売ってもらえませんか?」
ってのもよく来る

すでに販路がある軟石やを
使おうとするのもお断りする


ひとつの商品を生み出すのも
ひとつの販路が繋がるのも
簡単ではないんだよ

試行錯誤いろんなご縁

うちみたいなヘラヘラした感じだと
簡単に承諾してくれたりして?
と思うかもしれないけど

そこに無言の「敬意」があるか否か
伝わってくるもので

そしてその人がこれをやりたい!
と思う事に本気か?
無言の「決意」があるか否かも
ちゃんと伝わってくるものです

私が最も伝えたい言葉は
この動画の7:10あたりで閣下が叫びます

https://youtu.be/2xgXpY5mJt4

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