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ターミネーター ニュー・フェイトの感想(ネタバレあり)

今回の感想は無駄にフランク・ダラボン監督のミストのラストにも触れていますので、注意をお願いします。


イオンシネマ京都桂川で鑑賞。

映画入場口のすぐ横のカフェゾーンで時間潰す事が多いのだけど、奥の壁にプロジェクターで一つの映画の予告を延々と流すのをやめてくれたのが本当ありがたい、音うるさいし落ち着かなかったので。

シリーズ全体としてさほど思い入れがあるわけじゃないけど、シュワちゃんは好きだし、これまでの3、4をなかったことにして「2の正当な続編」として作り直すという試みにビックリしたのでとりあえず観とかないといけないと映画館に足を運んだ。

しかしシリーズモノには出来不出来があるのは当然だし、それも含め追いかけるのが醍醐味だと思うのだけど、「3や4は駄作なので無かったことにしてこっちを観てください」という姿勢は映画人としてどうなんだ。

3や4も面白いものにしようとして頑張った人たちがいるのに、シリーズの生みの親でもあるジェームズ・キャメロンが自ら進んで映画史から消そうとしている感じが僕はすごく気持ち悪い。

でもひょっとしたらそういう手法を取ったのにも納得する様な出来になっているかもしれないのでとりあえず観てみたけど、結果的にはシリーズ史上一番モヤモヤした気持ちが残る作品になってしまった。

まずサラ・コナーの人生を思うとあんまり過ぎて受け入れたくないというのが正直な気持ち。
愛する息子を結局殺され生きる目的を失ってあの何十年かを過ごしてきたかと思うと本当気の毒。
これがキャメロンがやりたい続編だったなら「マジで鬼畜過ぎだろ」と思う。

いや続編として、こういう前作の頑張りが全然報われない方向に話が進むタイプの映画はアリだと思うのだけど、作り手が「ターミネーター3」を否定して「こっちこそが本物のターミネーターの続編なんですよ!」と主張する割に、今までで1番リスペクトしてるはずの「ターミネーター2」の偉業を否定する様な所からお話が始まるので冒頭から「これ大丈夫か?」と、不安な気持ちになる。

しかしその後、やっぱりその重すぎる冒頭を取り戻す様な熱い展開が後半にないまま映画が終わった印象。

個人的に前作から同じキャラクターが登場する続編はハッピーエンドで終わったとしても、登場人物達にもう一度不幸を押しつける事だと思っている。
それには観客が納得する必然性が必要だと思うし、もう一度引っ張り出すからには作り手も登場人物に対して誠意がいるし、お約束な展開を作りたいが為に登場人物の人生を考えない様な続編は僕は好きじゃない。

成功例で言うと「クリードチャンプを継ぐ男」はロッキーがボクサーとして闘えなくなって死を待つだけの未来にとても説得力があったし、それでもあなたは偉大なんですよというキャラクターへの愛情が溢れた大傑作で僕は生涯ベストに好きな続編。

それで今作について考えてみたのだけど、サラ・コナーという1、2の主人公である彼女に対する仕打ちが何度も言うけどいくらなんでもハード過ぎる気がした。
前作までで、すでに人並みの幸せを殆ど奪われ唯一の宝物がジョンだった訳じゃないっすか。それが映画始まっていきなりあんな事になるってキツ過ぎる。

2の溶鉱炉に沈んでったT-800だって浮かばれないよ。
あの直後に自分と同じ型のターミネーターにジョンが殺されるとか、もうちょっと死ぬの後にすりゃ良かったのに。ミストのラスト並に胸糞悪い。
というか今回のジョンを殺したT-800、目的失って何十年ものうのうと暮らしてたのにスカイネットが支配する未来来てないし2のT-800死ななくて良かったんじゃ無いのか、、、犬死にじゃん、、、

あと今回の敵ってスカイネットと関係ない訳で、見た感じターミネーターに近い容姿の敵が出てくるから高揚感があるだけで、違う世界線の殺人ロボットなのもなんかなぁ。(まあ続編あるならスカイネットとの関係が示唆されたりするかも知れない)
「この娘はジョン、、、」とサラが気付く所とか僕は全く感動出来なくて「いや、気持ちは分かるけど、あんまりあなたに関係ないよ」と思った。
未来を変える為にかつて人知れず闘っていた老兵みたいな感じで、今回の闘いに彼女が助っ人として登場するのは確かにカッコいいとは思うけど背負っているものが重過ぎて観ていて辛い。
ボーダーラインシリーズのベニチオ・デル・トロばりにバックボーンが哀しすぎる。

ジョンを殺しておいて良い人ヅラして闘いに参加する今回のT-800は最後まで好きになれなかった。2、3、ジェネシスに出てきた良いT-800と全く設定が違うもん。
ターミネーターが出現する度にサラに座標送っているのもよく分からなかった、そんな武器あるなら自分で行けばいいと思ったのたけど、あの辺の話も僕はあんまり理解出来なかった。

良かった所で言うと、1作目のカイル・リースの役割をするマッケンジー・デイヴィスは素晴らしかった。超人兵士設定なのでターミネーターとは違う猫の様な美しい身のこなし。ヒロインのナタリア・レジェスとの身長差の百合カップル感も素敵。

あとデッドプールのティム・ミラー監督だけあって、アクションシーンがとても見やすい。
前半の自動車工場の戦闘からカーチェイスまでの流れとか、とにかくでかいトラックが追ってくる所とかツボは抑えつつ、テンポが良くて終始ハラハラした。
そしてここぞと言う所でのサラ・コナー登場の流れは問答無用で上がる、しょうがない。

シリーズをリセットした事でターミネーター2のT-1000かそれよりちょっと弱い位の今回の敵もちょうど良い強さだったとは思う。
ジョジョのスタンドみたいに2つに分かれて闘うのも絵的にフレッシュ。

そんな感じで良い所もあったので観て良かったとは思うけど「やっぱ2の続編3でよくない?」という気持ちになった。

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