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黒田龍之介著「外国語の水曜日」を読んで。レビュー。まじか?

 元NHKテレビロシア語会話講師で著作数も結構あり、軽快なしゃべりで人気もあるらしい先生。ニューエクスプレスプラスシリーズのロシア語の著者でもあり、そこに出てくる「つばさ君」の言動が面白いと言語界隈(?)では有名な人でもある。

 さて、その人が書いたこの本。初めの部分をちらっと立ち読みしたら面白そうなので、買ってみた。

面白そうで、ためにたりそうな感じ。それがこの人のうりなのか?内容があまりにもひどい。驚いた。

自分が学び、そして教えてきたことを面白おかしいエピソードとともにエッセー調に書いてあり、内容もためになるのなら一番だが…

まず、第一章。

①チュウのポーランド語集中講義
 仲のいい学生チュウ(あだ名)が自ら志願して「ロシア語以外の言語集中講座の生徒モルモット」になる、ということでポーランド語を5日間集中して教えたというエピソード。
 決めた理由は黒田氏が得意のスラブ系言語であり、ロシア語とは違いローマ字なので文字を覚える時間が節約。
 5日間ニューエクスプレスポーランド語を教えた。20課中8課だけ。
 40%しか進められていないのに、達成感が得られたなど自画自賛には閉口。これが学習のためになるのか?

ちなみに以前東大生はドイツ語センター試験で何点とれるか?というのを書いたが、彼は全くのゼロからドイツ語を2日間(10時間)で独学して200満点中105点とった。あと20時間(4日)あれば150点取れる(平均点142点を超える)といったようなことを書いた。2日でドイツ語センター試験を半分以上取れた素人と、かたや、ロシア語教授のプロが5日教えて20課中8課で大満足ってなんなんすか?言葉は悪いが教える方法が根本的にまずいと言わざるを得ない。しかもそれを自覚せず自画自賛しているのが危ないです。
ちなみに授業計画は1日目発音と1課、2日目2課と3課、・・・一日2課ずつ・・・5日目最終日8課とテスト。
僕が書いた東大生ドイツ語学習法と全く違うのが読んだ人なら一瞬でわかります。

下は以前書いた記事です。

さて、次は
②フィンランド語に魅せられたアンドレイ(あだ名)が黙々と一人で和訳作業をしていくって話。で?として言いようがない。学習法も教授法もへったくれもないエピソード。

③自身とジュンとの3週間韓国語集中受講。テキストは「韓国語Ⅰ」。
 1週間目は日本人講師、2週間目はネイティブ講師、3週間目は交代交代。生徒ジュン(あだ名)と自身でまずハングルを覚えあとに、初日に入る。二人で韓国語ダジャレを考えて楽しかったと大満足。歌を2つ教わったと大満足。結局、韓国語の何をどう、どこまで学んでいったかは一切なく、楽しいのが一番だと終始自画自賛に閉口。

④自身のトルコ語集中受講
 トルコ人セルゲイ(あだ名)くんにトルコ語を2週間6回集中的に教わったという話。教材はニューエクスプレストルコ語。①の集中講義(自画自賛)を自分に当てはめてやってみようと試みたらしい。
 トルコ語はローマ字であり、文字を覚える必要がない。そして語順が日本語や韓国語と同じでSOV型。日本人にはとっつきやすい言語だといえる。
 さあ、自身が試みた結果は?
 1,語順がロシア語と違うから慣れない(え?日本語と同じなんだよ)。2、なんせ忙しいので。
というなんと2つの言い訳で失敗に終わった。
 信じられない。学習法を謳う本が失敗してる(笑)。しかも失敗理由が語順が日本語と同じだから、そして、忙しいから。という唖然とするしかない理由。

ここらへんで、黒田氏の特徴、性格がだいたい分かった。とにかく自画自賛なのだ。内容がなく低レベルなことの羅列にイライラ来るのに、それを自画自賛大満足して上からへらへらしながら話しかけてくる軽快な口調。
もうイライラが収まらなくなってきた。

⑤ この⑤はとにかく延々と続く長ったらしい話。自分が受け持つロシア語上級の授業の内容だ。それがあまりにも単純な授業。一言で言える。ロシア文学の和訳作業だ。
これは私自身の経験で話させてもらうが、和訳作業が一番言語が身につかない方法だ。中学高校の英語がそうだったように。その他も私自身の経験は省くが。そして、この和訳授業ほどヤッタ感(達成感が近い言い方だが、達成していないのだからヤッタ感と言いたい)があるものはない。さらに教師にとってもヤッタ感があるものだ。
つまり和訳作業の授業は、1,生徒のヤッタ感 2,教師のヤッタ感 そして、3,最も身につかない(語弊があるなら最も効率が悪い学習法)
日本の100年間の英語学習法ともいえる学習法オブ学習法。キングオブ学習法ですよね。
ロシア語の初級、中級とやってきてもっとやりたいと思っている学生にいまどきこんなやり方で指導するってどうなんだろうか?しかも1,2,の理由でみんな楽しそうなのだ。なんと罪深い学習法なのだろうか…


さあ、この次はどんなエピソードがありますでしょうか!最後を飾る面白学習エピソード、そして第二章に入っていきます!乞うご期待!

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