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エジプトでパスポートを紛失してから日本に帰るまでの話①

会社の年末年始休暇を使って念願のエジプト旅行を楽しみしていたが,パスポートを紛失したことで,観光の目的が楽しむことからエジプト脱出に変わった。

正直なところ,パスポートを紛失するまでは,パスポートを紛失すること自体,自分にとっては考えられないことだと思っていた。が,その考えられないことを自分は犯したのだ。

実際にパスポートをなくした人・なくしている人には共感と有益な情報を,はたまたパスポートをなくしたことがない人にはパスポートをなくすことでどれだけの絶望が待っているか伝えたい。

2023/12/31(日) カイロ→ルクソール
パスポート紛失 当日

タクシーでの口論


12/30(土)〜31(日)でエジプトの都市カイロ観光を満喫し,飛行機でルクソールへと向かった。ルクソール空港に着いたのは20時頃。

そこから200エジプシャンポンド(以下,ポンド;1400円程度)で予約していたホテルのシャトルタクシーを利用し,今日の宿であるハッピーランドホテルに向かおうとした。

インターネットの情報では,シャトルタクシーを探す際には,空港の出口で「ハッピーランドホテル!」とタクシードライバーに声をかけないといけないとのこと。

その情報に従い,多くのタクシードライバーがいる中で「ハッピーランドホテル!」と叫んだ。しかし,これが大きな過ちだった。「ハッピーランドホテル?」と1人の長身で細身のエジプト人が声をかけてきたので,このタクシーだと思い,車に乗り込んだ。

乗り込んだタクシーには別の宿の宿泊客も乗せていて,「他のホテルと合同なのだろうか?」と訝しく思った。その懸念は的中し,別の宿泊客を降ろした後に,パーカーのフードを深く被った強面のエジプト人がタクシーに乗り込んできた。

その強面のエジプト人は,「お前は俺のタクシーに便乗して乗っている。好意で乗せているのだから,40ドル払え」と恐喝してきた。事前に聞いていた200ポンドとは桁違いの額である。どういうことだ? ホテルのタクシーなのになぜぼったくる? しかも地球の歩き方にも載っている宿なのに。

「200ポンドと聞いている,40ドルなど払えない」と語気を強めて言う。車内で2対1の状況,明らかに不利である。

強面のエジプト人との押し問答は宿に着くまで続き,結局250ポンド支払う形で終わりとなったが,後味はよくなかった。

宿のオーナーにぼったくられたことを抗議すると,「君は違うタクシーに乗り込んだんだ」と言われて,ようやく事情を理解した。

実はタクシーで押し問答になっている間,知らない電話番号から電話があった。その番号を後になって調べると,宿の番号であった。自分を探していたのだ。

天国から地獄

このホテルの屋上には,ソファーや椅子がたくさん並びくつろげるスペースとなっている。


年末年始というタイミングからも日本人の宿泊客も数名おられた。ここで出会った日本人と屋上で食事を楽しんでいると,ホテルのオーナーから大晦日だからという理由でウイスキーを開けてもらい,宿泊客を数名集めて飲むこととなった。

BGMには,ミドルテンポなミュージックが流れるなど落ち着いた時間が流れていた。ルクソールでの観光はいいものになりそうだ,と感じた。

尿意を感じたためトイレに立ち,ついでに少し休憩しようと思い,部屋に戻る。何となくパスポートを入れていた肩掛けバッグの中を見てみると,異変に気づく。

パスポートがない? バッグの中をすべて出し,身につけていたウエストポーチや衣類のポケットの中も探すも見つからない。時刻はもうすぐ,新年を迎えようとしていた。

つづく


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