豆腐屋のひとり言 大盛り考
「蕎麦、大盛りでね!」「あいよっ!」
大盛り、心躍る響きである。
齢六十にせまっても、いまだに蕎麦屋へ行くと大盛りをたのむ。
大体が通常の一人前が少なすぎる。生来の麺食いとしては蕎麦はたっぷり食べたいのである。
初めて行く蕎麦屋で大盛りをたのむと「えっ、これで?」という量の時がある。
蕎麦の一人前は店によってまちまちで、これで大盛りですと出されたら客は黙って頂くしかない。
かと思えば、とんでもない大盛りが出てくることもある。
京都の一乗寺の蕎麦屋など大盛りを頼むと、かき氷か