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レーズンバター

 3月から借りるアパート、すなわち秘密基地で、暇な人がわらわらと集まって飲む「家飲みスナック」をしたら楽しいだろうなと妄想していて、レーズンバターのことを考え始めました。
 レーズンバターに合うのはブランデーとかウイスキーのような蒸留酒かな、と考えて、それなら焼酎でも大丈夫だろうし、お湯割りにしてレーズンバターをおつまみにしたら、バターの溶け心地もよくてなかなかのものになるのではないか?と取りとめもないことを考えているうちに、江國香織さんのことを思い出しました。
 江國香織さんのエッセイ『泣く大人』の中に「贅沢なかたまり」という、バターについての文章があります。ここで印象的なのは、バター好きの江國さんが、自分の死後に火葬場の人が骨を見たら「贅沢な方だったんですね」と言うだろう、と書いていることです。贅沢で幸福なバターを食べた江國さんは、自分の骨が、丈夫で白く、つやつやしているに違いない、と妄想するのです。
 このエッセイでは、編集者と食事に行った江國さんが、「ここをでたらレーズンバターを食べにいきましょう」と提案します。そして、あちこちのバーに電話した挙句、「レーズンバターに自信あり」のお店を見つけ、その厚くて濃厚な塊で食事の仕上げをすることに成功した、というエピソードでこの文章は締めくくられます。
 
 この文章を思い出して、本格的にレーズンバターが食べたくなり、思わず作り方を調べてみました。要するに、レーズンを少しふやかして、泡立て器で撹拌したバターと混ぜ、ナマコ状に包めばいいようです。これはきっとバターが勝負!ということで、近いうちに作ってみようと思います。


 

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