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niki niki:聖護院八ツ橋より、マカロンのような色合いの八ツ橋

言わずと知れた京都の銘菓・八ツ橋。

筆者は、学生時代を京都で過ごしたため、毎朝八ツ橋屋さんの前を通って大学に通学していたが、八ツ橋をお土産に買うこととはあっても、自分用に買ったことは数える程しかなかった(と記憶している)。

京都の八ツ橋と言えば、西尾井筒、そして聖護院

個人的には、フルーツやラムネなど変わった味の種類が多いのが西尾、夕子のマークが特徴的でなのが井筒、そして少しクラシカルで上品なパッケージなのが聖護院という印象を抱いている。

そんな八ツ橋の歴史は古く、誕生は、元禄二年(1689年)。

徳川幕府が成立し間もない頃に生まれた八橋検校(やつはしけんぎょう; 1614-1684)は、近世筝曲の開祖とされる箏の名手。

八橋検校が亡くなると、京都市左京区にある黒谷金戒光明寺・常光院(八はしでら)に葬られた。

彼を偲ぶ人たちにより、琴を模した干菓子が作られ、それは彼の名にちなんで「八ッ橋」と名付けられた。

現在の聖護院八ツ橋本店となっている場で、その八ツ橋は販売されるようになり、今も人々に愛されている。

(参考:聖護院八ツ橋公式ホームページより。その他、各八ツ橋の会社で微妙に八ツ橋誕生ストーリーが異なるため参照されたい。)

そんな伝統ある聖護院八ツ橋は、2011年に新形態の店舗・ニキニキ(niki niki )をオープンした。

四条河原町の交差点の近くにある店舗は、まるでケーキ屋さん、強いて言うならばマカロン屋さんのような外観である。

オープン当初の2011年、筆者は京都に住んでいたため、その外観を見て「おや?」と足を止め、この店を知った。

ショーケースに並ぶ商品。


まず、名物の「カレ・ド・カネール(carré de cannelle)」。

「カレ」(carré)は正方形、「カネール」(cannelle)はニッキ(シナモン)を意味するフランス語。

ニッキ味(白、ロゼ(ピンク)、アズール(青)、黒ごま味(黒)、抹茶味(緑)と5色の生地と、約8種類の餡・コンフィチュールから好きな組み合わせを作りその場でいただけるというものである。

値段は、一つ80円から。

生地は、常時5種類用意されており、餡とコンフィチュールは、定番の粒あんとりんごの他は、季節ごとに変わるフルーツ味のものがある。

2019年8月の時点では、ココナッツ、ライチ、パイン、レモンといった夏らしい変わり種の餡やコンフィチュールがあった。




また上段のものは、「バル」(Balle)という上用饅頭(1個200円、5個セット箱入り1100円)。

5色の色の饅頭は、それぞれシナモン・レモン・バニラ・黒糖・クルミの5種類の味となっている。

山芋のしっとりした薄皮の生地に、すっきりした甘さの餡がたっぷり入っている。


そして下段のものは、「季節の生菓子」(le gâteau de la saison)(2個セット箱入  550円)。

こちらは月代わりで提供されるとのこと。

2019年8月は、浮き輪に入ったシロクマやクジラ、オットセイといった可愛らしい動物たちがモチーフの生菓子が店頭に並んでいた。

またこちらは2014年6月に筆者が購入した季節の生菓子。

ちょうどW杯の時期であったため、日本代表の青をメインカラーにしたデザインの生菓子が販売されていた。

練り切りや生菓子はこうあらねばならないという概念に捉われず、季節を感じさせてくれる作品ばかりである。


筆者が店頭で食べた黒ごまの生地に、バナナキャラメル餡を合わせたものと、

ピンクの生地にライチのコンフィチュール、青の生地にココナッツ餡を組み合わせたもの(御察しの通り、京都滞在中に2日連続で行った)。

このように、店頭で食べることができるというのも面白い。


遊び心に溢れたニキニキをプロデュースしたのは、聖護院八ツ橋総本店の社長・鈴鹿且久氏の娘である専務・鈴鹿可奈子氏。

正方形の八ツ橋の生地を花びらのように包むというスタイルは、開発中に聖護院八ツ橋の社員の方が提案したもの。

確かに、今や様々な味の餡の八ツ橋が京都では販売されているが、どれも三角にパタンと折りたたんで餡が包まれており、餡が見えるのは、一口かじった時のみである。

花の蜜のように、餡が顔を覗かせているのは新しい。

店頭の写真を見ても分かる通り、ニキニキは、白、黒、そしてミントグリーンを基調にした外装・パッケージデザインであるが、当初、女性客にターゲットを絞る可奈子氏は、ピンク色を基調にしたデザインを提案していたらしい。

ところが、父である社長が、ターゲット以外を除外してはいけないし、京都の街にも受け入れてもらわねばならないと諌めたことから、今の色に決定された。

現在では、男性や年配のお客さんも多いというニキニキ。

ピンクでも美味しかったら売れるのでは?と素人は思ってしまうが、そこは老舗の主人として、景観や伝統、地元の人との和を重んじる社長の判断が重要だったと考えられるであろう。

八ツ橋は、本店の他、新京極や寺町の繁華街、また四条河原町や四条烏丸、京都駅の大手デパートでも、種類豊富に扱われているが、このニキニキを食べることができるのは、京都でも2箇所のみである。

餡と生地を別にした持ち帰り用も売られているため、最中のように家で包むのも楽しいかもしれない。



参考:「「八ッ橋」に新風吹き込む 京大卒後継ぎ娘の挑戦/ 聖護院八ッ橋総本店(上)」Nikkei Style(2017年9月7日付記事)


niki niki(ニキニキ)

四条店

住所:〒600-8001 京都市下京区四条西木屋町北西入真町96

営業時間:11:00-19:00

定休日:不定休

電話:075-254-8284


アスティ京都店

住所:〒600-8214 京都府京都市下京区東塩小路高倉町8−3

営業時間: 9:00-20:00

定休日:アスティの営業日に準ずる

電話: 075-662-8284

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