見出し画像

ラジオエルメス(Radio Hermes):期間限定ラジオ局、観て聴いて楽しむエルメスメンズの世界

音楽とファッションの関係は、切っても切り離せない。

あるメゾンのショーが、ある音楽や映画を元に作られることもあれば、あるミュージシャンがあるメゾンのアイテムを選んで自分のスタイルを作ることもある。

例えば、フランス革命前(18世紀末)のアンシャンレジームの頃より、宮廷やサロンには、一流の音楽とファッションがあった。

そこに集まる人は、洗練されたファッションや音楽を求め続け、またそこに集まった人が、次々と流行を生み出した。

フランスを代表する高級メゾン・エルメス(Hermes)は、原宿のイベントスペース・CASE Wにて、ラジオステーション「ラジオエルメス」を期間限定(2019年9月1日から29日まで)でオープンしている。

画像1

2019年9月現在、東京都内の公共交通機関を使っている方は、この広告を何度も目にしているかもしれない。

画像4

エルメスのロゴマークに使われる従者が、ラジオパーソナリティーに扮する形でポップに変身している。

画像5


因みに、エルメスの公式のロゴマークはこちら(ドコドアロゴより引用)。

画像6

1837年、パリにて馬具工房として開業したエルメスは、ナポレオン3世(1808-1873)などの顧客を得て発展。

その後、馬車文化の衰退と自動車産業の勃興という時代背景に伴い、エルメスは、馬具だけではなく、鞄などの革製品や服飾小物、香水なども生産していくことに。

確かな技術と品質で確固たる地位を確立したエルメスは、「ケリーバッグ」や「バーキン」といった今も愛される名作を生み出していった。

馬具工房から発展したエルメスのロゴには、馬、馬車、従者が描かれている。

ところが空の馬車を見ると、その主人はどこにいるのかと疑問に思うかもしれないが、

・「従者=職人」

・「馬車=ブランドアイテム」

・「馬=ブランド」

・「主人=ユーザー」

という意味がロゴには込められている。

つまり、最高の品質のモノを選択し、使うのは、ユーザーであるべきだという考えのもとロゴは作られているのである。

因みに、本元のエルメスのロゴに描かれる従者には表情がないが、ラジオエルメスの従者はにっこり笑っている。

ラジオパーソナリティーの従者が、リスナーである主人(私たち)をエルメスの世界に案内してくれるような印象を受ける。


そしてこちらは、会場内に設置されたラジオスタジオ。

画像4

モニターに映るのは、エルメスオリジナルのパターン。

エルメスのメインカラーであるオレンジのライトなどが効果的に使われている。

画像5

ラジオエルメスの主なプログラムとして次のものがあげられる:

・「ヴェロニク、ニシャニアン、東京の友人」:エルメスのメンズ部門デザイナー・ヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)とゆかりのある「東京の友人たち」をゲストして招くトークショー。

・「ヴェロニク・ニシャニアンのABC-book」:ヴェロニク・ニシャニアンがアルファベットの”A to Z”から連想する言葉をキーワードに制作したシリーズ(例:A=「Architecture/建築」、C=「Couleur/色」、I=「Innovation/イノベーション」etc..)。

・「à l’atelier」:エルメスと関係のあるアーティストやクリエイターを迎えたインタビュー番組。

・「私がいま、話をしたいひと」:女優の石田ゆり子さんや作家の朝吹真理子さんなど、各分野で活躍する女性たちが、ラジオパーソナリティーになり、彼女たちの「いま、話をしたいひと」と対談する番組。

・「Hermès Q」:エルメスとともに制作を行ったことがあるクリエーターたちが、ラジオエルメスからの質問に答える番組。

・「Radio Hermès Tour」:坂本龍一×本條秀慈郎、野田洋次郎、Camp Claudeといった日本とフランスの3組のアーティストによる、日本各地の特別なロケーションにおける演奏を届ける番組。

・「playlist (musique classique)」:朝と夜、それぞれの時間にぴったりなクラシック音楽が流れる番組。

などなど。


画像7

ミュージシャン、建築家、クリエーター、作家、編集者などなど、様々な分野で活躍する人々が、このラジオエルメスのためにトークや音楽を提供しているのである。


また、会場の1階には、2009年から2019年までのエルメスメンズのパリコレクションで使われたショー音楽のプレイリストが聞けるコーナーがある。

画像8

そのシーズンのメインのデザインがレコードジャケットになっており、中のレコードを機械に設置すると音楽が流れる仕組みである。

画像9

同じく1階の大きなパネルには、エルメスとゆかりのあるミュージシャンたちのライブ映像が流れる。

画像10

ちょうど写真に収めたのは、坂本龍一氏と野田洋次郎氏。

画像11


年代物のラジカセのオブジェには、遊び心が溢れている。

画像12
画像13



そして2階の一角には、様々な素材でできたレコードジャケットが陳列する。

画像14

実際のエルメスの商品に使われるこれらの素材は、触ることができるようになっている。

画像15


この2階では、VR体験スペースがあり、3組のミュージシャンによるスペシャルライブパフォーマンスの映像を楽しむことができる。

(因みに筆者が鑑賞したのは、illionこと野田洋次郎氏がグランドピアノを演奏しながら歌う"Miracle"であった)


画像16

光やエルメスのスニーカーを使ったインスタレーションは、ポップでキュート。

画像17

最初のロゴの話に戻るが、エルメスには、今をときめくクリエーターやアーティストといったキーパーソンが集まっている。

これらの「従者」たちが作り上げたエルメスの作品を、「主人」である私たちが、美しく使うことができるようになれば、私たちの生活はより良いものになるかもしれないと思ったのであった。




参考:

「エルメス / HERMÈS」『Vogue Japan』

「エルメスのロゴマークに隠された意味」『Abox』(2015年9月13日付記事)

ラジオエルメス ラジオステーション

会場:CASE W

住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 6-16-23

期間:2019年9月1日-9月29日(日)

営業時間:11:00-20:00

※毎日19:00~20:00は公開生放送

公式ホームページ:www.hermes.com

ラジオエルメス特設サイト:radio-hermes.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?