幽霊のような静寂が漂う路地裏に、怪しいお菓子屋が佇んでいた。その店は「奇妙なお菓子屋」と名乗っていたが、通りすがりの人々は避けるようにしていた。

店の扉を開けると、中には古びたカウンターと棚が並んでいた。奇妙なお菓子がずらりと並んでいるが、どれも見たことのない形状や色をしていた。客はほとんど訪れないが、時折、好奇心旺盛な子供たちが覗きに来ることがあった。

店主は小柄な老人で、白い髭をたくわえていた。彼はいつも黒いローブを着ており、目は奥深くに隠れていた。彼の笑顔は怪しげで、客に不安を感じさせた。

「いらっしゃいませ、若者。何かお求めですか？」と店主は声をかけた。

客は迷った末に、一番奇妙そうなお菓子を選んだ。「これをください」と言った。

店主は微笑みながらお菓子を包み、客に手渡した。「気をつけて召し上がってくださいね。このお菓子は普通のものではありませんよ」と忠告した。

客は不安そうにお菓子を口に運んだ。すると、不思議な感覚が広がった。彼は一瞬、幽霊のように透明になった気がした。そして、周りの景色が歪んで見えた。

「これは……？」と客は驚いた。

店主はにやりと笑い、「それは、あなたの心の中に眠る秘密を解き放つお菓子だよ。奇妙なお菓子屋に来た者は、必ず何かを手に入れるんだよ」と言った。

客は不思議な体験をしたが、それが幸せなものであれば、それでいいのだろうと思った。彼は奇妙なお菓子屋を後にしたが、その日から彼の人生は少しだけ奇妙で幸せなものになったのであった。