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ラジオの時間

ここ数年、ラジオを聴くのが楽しい。

郊外暮らしにつき、娘の塾や習い事の送迎、スーパーへの買い物などで車にはほぼ毎日乗っていて、そのとき聴くラジオがやけに楽しいのだ。

以前はInterFMびいきだったのだけど(ピーター・バラカンさんのファンだから)、今はJ-WAVEにチューニングしていることが多い。
ラジオって不思議で、テレビで観たときはさほど印象に残らなかった人が、ラジオでおしゃべりの様子を聞くうちに「なんかこのひと、すごくいい」と思うことが、よくある。
平日は月、水、木、金と娘のお迎えで夜7時ごろに車に乗るのだけど、その時間に放送される「JAM THE WORLD」も、何げなく聴いているうちに、グローバーさんのことを「なんかいい感じ」と注目するようになった。経済などちょっと堅めなニュースの伝え方も上手で(東大卒のミュージシャンと知ってびっくり!)、おかげで、受験生の親のお努めでしかなかった塾のお迎えが、なかなか有意義な時間となっている。

LiLiCoさん大好き

わたしの中で、ラジオでその魅力を発見した最大級レベルのひとが、LiLiCoさんだ。あれは1年くらい前だったろうか。ある金曜日の午後、たしかDIYや園芸用のグッズを買いに車でホームセンターへ行った、その往復でたまたまLiLiCoさんと稲葉友さんの「ALL GOOD FRIDAY」を聴いた。
それまではテレビに出てくるテンションの高い映画コメンテーターという印象だったLiLiCoさんが、そのラジオをきっかけに大好きになってしまった。たまたま聴いたのがリスナーの恋愛相談みたいなコーナーで、なかなかシンドイ内容のお悩みに、彼女はまるで親友みたいに心を寄り添わせながら親身にアドバイスをして、最後には「この結果がどうなったかすっごく気になるから、ぜったいにまたメールちょうだい!」と何度もその相談者に呼びかけていた。稲葉くん(と呼びたくなるキャラ)との姉と弟みたいなキャッキャしたかけあいもほほえましくて、それまでまったく知らなかった彼のこともすっかり大好きに。とってもきれいなお顔立ちのイケメンくんで(だからこそ)おそらくテレビで観てたらスルーしていたと思うんだけど、しゃべっていると、繊細なやさしさととぼけた感じがなんともいい味を出していて、彼もすごく好印象だ。

夫がライターの仕事で、著名人に食の思い出を語ってもらう雑誌連載を担当していて取材相手を探していたので、「LiLiCoさんはどう?」と推薦してみたら、本当に取材が実現。実際にお会いした夫もすっかりLiLiCoさんファンになって帰ってきた。つい数日前も、たまたま夕方車に乗ったら、ピストン西沢氏の番組にLiLiCoさんが遊びに来ていて、これまたラッキーな気分に。彼女が話していると、ラジオからポジティブなオーラがビンビン伝わってきて、「まぁ人生いろいろあるけどさ、がんばっていればそのうちいいことあるよね!」みたいな気持ちになってくる。最近著書を出版されたそうで、ぜひ読んでみたいと思っている。

ちなみにJ-WAVEの金曜日は「ALL GOOD FRIDAY」の前がジョン・カビラさんの「JK RADIO TOKYO UNITED」で、これまたさすがに安定感のある面白さだ。聴いていると、一人で運転しながら声を出して笑ってしまうこともあって、彼のユーモアって、あの声と話し方同様に独特で、大好き。

わたしが住んでいる地域は、郊外といってもけっこう車は渋滞するし、運転そのものを楽しめる環境ではけっしてないのだけど、少なくともラジオのおかげで、用事をこなすための移動時間以上のウキウキ感を味わえているのが、とってもありがたい。

日曜日の小確幸

村上春樹用語の代表格である「小確幸(しょうかっこう)」、つまり「小さくとも確かなしあわせ」。
わたしにもいくつかの小確幸があり、その一つが、晴れた(薄曇りでもいい)日曜日の午後、ラジオを聴きながら庭の手入れをすることだ。そのときの番組は必ず、Inter FMの「Lazy Sunday」でなくてはいけない。

DJのGeorgeさんの選曲による、70年代の西海岸系ロックやフォークを聴きながら、芝生の雑草を抜いたり、新しい植物のタネを植えたりしていると、内側からひたひたと全身へ沁み渡っていくような幸福感に包まれる。
Georgeさんのお相手の麻耶さんの「おっさんいじり」、それに飄々と応戦するGeorgeさんの麻耶さんに対する「年増女いじり」、お互いの毒の効かせ具合が絶妙で、二人の愛あるけなしあいの平和さが、日曜午後という時間帯にこれ以上望めないほどぴったりなのだ。

合間に読まれるリスナーからのメールや寄せられるリクエストも、この番組の空気感がちゃんとわかっているね、とニヤリとさせられるものばかりで、一人で聴いていても、なんとなく居心地のいいコミュニティ感に浸れるのがまたよい。

最近はテレビをつけていると、大した情報でもないのに演出を過剰に盛っている感じに白けたり疲れたりしてしまうことが多いのだけれど、ラジオは、入ってくる情報量がちょうどよくて、心地いい。
誰かに対して印象を抱く手がかりとなるのが、声と話し方と話す内容だけ。でもそれで「なんかいい」と感じる、その感覚はきっと、間違っていないのだ。

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