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ヨガとダイエット②

人生後半でダイエットに向き合うことは、この先一生、食べることを通して内側から満たされ、太ることに悩まされない、本質的に自分に合った食事法を真剣に探すことだ。

前回の「ヨガとダイエット①」では、少しずつ自分の食の思考が菜食に寄ってきている現状と、人類の健康にとってもむしろ菜食の方が自然という考え方もある、ということを書いた。
*「ヨガとダイエット①」はこちら

……それにしても、まさか50代になって、全身ピタッとしたヨガウェアに身を包み、ヨガのアーサナ(ポーズ)を練習する動画をSNSに投稿する未来がやってくるなんて、今もちょっと信じがたい。

子どもの頃から大柄ではあったけど、体型をほめられたことなんてなかった。深刻な肥満というほどではないにせよ、よく言えば(実際に言われてきたのは)「ガッチリして健康的な体格」。体育会系人種が揃った家族の中で唯一の文系タイプで、運動が好きなわけでもないのに、こんなに身長はいらないって思っていた(168cm)。

その身長を含め、太い二の腕や大きなお尻など、体はコンプレックスだらけ。華奢な体型にどれほど憧れたことだろう。

ファッション誌の世界で働いていると、細い体で最新の服を着こなすモデルさんを日常的に目にするし、90年代から2000年代にかけてチビTやスキニーデニムが大流行した時期も、20代という最もファッションを謳歌すべき年令にもかかわらず、ブームを横目に、静かなる反抗心を持ってトリコ・コムデギャルソンやA.P.C.などの禁欲的な制服っぽいアイテムを愛好していた。

その後、31歳でヨガを始めた動機は、紛れもなくダイエットだった。
当時京橋にあった綿本彰パワーヨガスタジオで、ヨガをエクササイズとして進化させた「パワーヨガ」のレッスンに参加したことが、わたしにとってのヨガの入り口だった。


わたしがヨガを始めたころ

時は2003年、マドンナや、スーパーモデルのクリスティ・ターリントンが火付け役となって世界的なヨガブームが起こっていて、とくにファッション業界者はこぞってヨガを始めていた。

本格的なアシュタンガヨガに取り組む仕事仲間からは「パワーヨガなんてハリウッド経由のなんちゃってヨガでしょ」とからかわれりしたが、それでもなんでも、過去どんな運動も長続きしたことがなかったわたしが、30代にして生まれてはじめて「体を動かすのって気持ちいい」と感じられたのがパワーヨガであり、あれが入り口でよかった、と今も思っている。

それ以降も、わたしにとってヨガはずっと「ダイエットも兼ねた運動」だった。
ホットヨガスタジオに通った時期も、短期間だけどあったし、逆に、クラシカルなハタヨガや陰ヨガは、運動量的に物足りなさそうという先入観で避けていたくらいだった。

そんなわたしがヨガ歴20年を超えてようやく、「ヨガはダイエット目的でやるものではない。けれど、ヨガを深めていくと結局はダイエットになる」という見解に到達しつつある。

ヨガ=アーサナではない


一般的に、ヨガといえばアーサナ(ポーズ)を思い浮かべる人が多く、太陽礼拝を始めとするさまざまなポーズを日々実践する中で、筋力と柔軟性が養われ、次第にプロポーションがよくなっていく……というイメージが浸透している。

とくに日本ではモデルさんを始めスリムな体型の方がインストラクターとして人気を集めるため、「ヨガをやるとあんな体型になれる」と夢を持つ人も多いのだと思う。

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