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うまくいくベンチャーの判別方法「スリッパの法則」

「スリッパの法則」

 うまくいくベンチャーとそうじゃないベンチャーを判別するうえで、とても有用な本があります。藤野英人氏の「スリッパの法則」という本です。藤野氏は、国内外の大手資産運用会社のファンドマネージャーを歴任し、レオスキャピタルという独立系投信会社を立ち上げた、マーケットでは名の知れた方です。

 藤野氏が国内系大手運用会社に新卒で入社した後、先輩や上司に同行して毎年多くの会社(藤野氏は中小型株セクター専門だったので多くがベンチャーや中小企業)に訪問した際、同行者なのであまりにも暇だったので、社長の人となりや応接室・会議室について気付いた事を落書きのようにメモしていたら、その後上手く行っている会社とそうでない会社には法則のようなものがあり、それを63個の法則にまとめたのが同本です。

スリッパに履き替える会社は本当にダメな会社が多い?

 この本の法則で最も有名はものは、「社内では、スリッパに履きかえる会社に投資すると、不思議に儲からない(法則26)」です。
 正直、何の根拠もないアノマリー(具体的な根拠や倫理では説明しにくい経験則や仮説のこと)ですが、私の経験でも法則通りの現象が何度か起こりました。

 私の知り合いでとても優秀な人がいて、独立した人がいます。都内のマンションの1室から始めて、一時は業績好調だったのですが、その会社がまさにスリッパに履き替えて上がる会社で、数年後には業績がピークアウトして最後は経営破綻しました。  
 私が所属した3社目の会社は産業機械メーカーで、外からチリや埃を持ち込まないように全員が専用のスリッパに履き替えましたが、目指していた上場がなかなか上手く行かず、結局大手メーカーに身売りしてしまいました。
 4社目の会社はFC展開をしていて、色んな会社がFCになっていましたが、そのうちの1社がやはりスリッパの会社で、徐々に業績が先細りになっていきました。
 本当に不思議です。同書には「スリッパに履き替える事で、心理的にその会社に行こうと思う人を減らしてしまうのでは」との仮説が載っていましたが、私としてはプライベートとパブリックを分けられない状況が経営上の甘えに繋がっているのではと思います。

法則の抜粋(1)

 ご参考までに、そのほかの法則も抜粋して載せておきます。とても興味深い法則ばかりです。

法則2 自分の過去の苦労話にインタビューの大半をさく社長の将来性は乏しい
法則3 社長の自伝を本人からプレセントされたら、その会社への投資は控える
法則5 人の話を聞かない社長には投資しない
法則6 質問すると怒り出す社長の会社は負け組企業入りか、すでに負け組企業
法則7 自分の会社の話をすると興奮してくる社長は信頼できる
法則11 相手の肩書によって態度を変える経営者は信用できない
法則12 大成功している経営者は例外なく細かい
法則13 優秀な経営者の多くはメモ魔である

法則の抜粋(2)

法則14 社長室の豪華さとその会社の成長性は反比例する
法則15 金ピカの高級時計をしている社長は要注意
法則16 社長が唐突に著名人との親交をにおわせる、もしくは強調するときはその会社への投資は避ける
法則17 喜々として業界団体やロータリークラブの名刺をくれる社長には要注意
法則24 パソコンを操れない社長は将来性が少ない

法則の抜粋(3)

法則25 豪華な新社屋ビルを建てたときは、業績のピークか株価のピーク、またはその両方である

法則27 社員に体操を強制する会社は儲からない
法則28 成長している会社の空気は華やぎ、停滞している会社の空気はよどんでいる
法則29 トイレの汚い会社への投資は必ず損をする
法則30 極端に美人の受付嬢がいる会社は問題がある
法則32 社員同士を「さん」づけで呼び合う会社への投資はリターンが高い
法則34 相談役のいる会社は成長性が少ない

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