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バリュエーションを「先送り」?!(1)

今回からは、(誰からの要望もないのに)5回にわたって連載した「株ってなに?おいしいの?」シリーズの続編です。

「株ってなに?おいしいの?」シリーズで、スタートアップの企業価値評価(バリュエーション)にDCF法が一定程度利用価値があること、しかしDCFは事業計画上のキャッシュフロー、割引率、永久成長率という、いずれも「どうにでもなる」数字を根拠にしていること、ゆえに上場間近ならば兎も角、立ち上げ直後のシード、アーリーと呼ばれるようなステージのスタートアップではなんとも評価し難いというケースがあることをご紹介してきました。

今回は、その続編。

じゃあ、海のものとも山のものともわからないシード、アーリーのスタートアップに投資するときの企業評価は、どうすればいいのか?というお話。

こんなとき、シリコンバレーでは、「わかんないんやったら、バリュエーション、先送りにしたらええやん」というアイデアが考案されました。

先送りというと、なんだか日本の政治家のようで、ネガティブな印象を受けますが、バリュエーションの先送りは、下記のとおり、急速な成長を目指すスタートアップにとってなかなかに合理的です。

(社長の)時間を節約できる

まず、バリュエーションには時間がかかる。

DCF法であれば、今後数年間の事業計画を立て、キャッシュフローを算出する必要がありますが、これは、実際にやってみるとわかりますが、なかなかに面倒です。適当に作ると、細かい人には細かいツッコミを入れられ、結構大変なことになります。

だけれども、これってスタートアップがやるべき本質的な業務ではない。革新的なサービスの創出、改良にこそ全労働力が投下されるべきであり、事業計画の策定に社長の時間がとられるというのは、殊にシード、アーリー段階ではあまりよいこととは思われません。

もし、投資家から投資を受けるにあたって、バリュエーションを先送りにすることができれば、社長の「時間」を買う(節約する)ことができます。

投資家も安心

投資家の方も、サービスを立ち上げて間もない会社が出してきた事業計画が適切なのかどうかなんて、なかなか判断が難しいでしょう。

その会社には、1億円の価値があるような気もするし、10億円の価値があるような気もする。

主観的にはそうかもしれませんが、スタートアップ投資は博打とは違いますので、回避できるリスクは当然回避すべきでしょう。

投資家にとっても、投資時点でバリュエーションを固定する必要がないとなれば、上記の心理的負担から開放されることになります。

バリュエーションを先送りする方法とは?

では、具体的に、バリュエーションを先送りして投資家から投資を受ける方法は、どのようなものなのでしょうか?

これについては、また次回に。

今日も1万回の失敗と挑戦を繰り返す起業家・スタートアップを応援しています。

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