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映画『私の頭の中の消しゴム』の冒頭、言葉なしの物語が繰り広げられます。

イ・ジェハン監督の「私の頭の中の消しゴム」という映画の中には主人公スジンとチョルス2人が登場するシーンで、冒頭7分間ほぼ一言も話さない場面があります。表情と動作だけで感情やスジンの性格まで表現しています。

駆け落ち相手が来るのかの不安

スジンが駅のホームで駆け落ちを約束した男性を待つシーン
駅にいたホームレスはスジンにタバコの火をつけてもらうように頼みますが、スジンはそれをただ首を振って断ります。男性が本当に来るのか、そわそわとして不安でいっぱいの状況で話しかけられたために、

駆け落ちする男性を待つ間ホームレスの願いを断るスジン

スジンはコンビニでコーラを買った後に商品を忘れて置いてきてしまいます。その後店員はコーラと財布を保管していた棚から取り出してくれましたが、スジンはありがとうも言わずにコーラと財布を取って店から飛び出してしまいました。

やはりスジンはこの点からも振られた直後で気分が不安定とはいえ、愛想の悪さを感じます。

大胆さ

先のコーラを忘れて最初にコンビニに戻ったときに、チョルスはスジンが買ったコーラの缶を持ってコンビニから出るところでした。出入り口のドアでチョルスとスジンは対面します。スジンはチョルスが持っているコーラを掴み取ってコーラを飲み干し、大きなゲップをチョルスに浴びせます。

スジンがチョルスにゲップを浴びせる

この冒頭シーンは、言葉を交わさずとも、スジンの心情や性格を巧みに描き出しています。感情の機微が表情や行動を通して伝わる、映画『私の頭の中の消しゴム』の力強いスタートです。

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