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12年目女性から男性のトランスジェンダーホルモン療法と体調管理の課題

初めまして。
藤原 直です。
45歳女性から男性のトランスジェンダーです。

子宮卵巣摘出後の12年前から、
更年期&ホルモン療法の副作用とお付き合いしてます。

去年、2023年の10月に、
最高裁で、性別変更に関するいくつかある要件の1つ、

性別変更の要件だった、下記の要件が、
裁判官15名の全員一致で違憲となった。

『生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること』

つまり、精巣や卵巣を切除する手術をしなくても、
性別変更が可能になったということ。

それでも、臓器摘出を考えていたり、
その先、どんな状態になるか?
想像がつかない方も、たくさんいると思って、

子宮卵巣摘出して性別変更をして、
11年経った、
女性から男性のトランスジェンダーの、
私の体とメンタルの状態をシェアさせていただきます

トランスジェンダーとは

生まれた時の性自認(自分で自分の性別をどう認識しているか?)が割り当てられた性別(戸籍や医師によって判断された性別)との間に、違和感を感じている人のこと。

<治療の流れ>
一般的流れは下記の通り。

どこまでの治療や状態を望むかは、
医師のサポートの元本人がカウンセリングで、
自分と向き合う中で決めていきます。

1、精神療法(カウンセリング)
2、ホルモン療法(望みの性別のホルモン投与)
3、手術療法(性別適合手術)

【私の場合】
30歳
2008年11月から関西医科大学附属滝井病院のGID外来で、
初診スタート!!1年6ヶ月待ち

ガイドラインに沿って治療できる病院が少なくて、
半年に1回の抽選で3回目にしてやっと当たった

33歳
2011年3月から男性ホルモン療法を開始して、
同年、11月にタイで乳腺摘出の手術。

2012年2月1日に名前を「直美」から「直」に変更。

3年契約の仕事期間満了で転職活動前に名前を変更したかった

35歳
2013年1月に再びタイに渡航。子宮卵巣摘出。
性別変更の書類を整えて、家庭裁判所に提出。
2013年5月に戸籍上の性別変更完了。

ホルモン療法を開始すると、
以下のような症状が出てくることがあります。

FTM ホルモン療法
FTM→female to male(女性から男性)

(1)肝機能異常
(2)高血圧・糖尿病・体重増加
(3)多血症・血栓症
(4)倦怠感・不安・抑うつ・不眠症・眠気
(5)肌荒れ・皮疹
(6)多毛・頭髪減少
(7)不正出血
(8)卵巣機能低下・不妊症
(9)アレルギーなど
引用:医療法人 LEADING GIRLS 女性医療クリニックLUNAより

望みの体に近づける作用であり、
同時に副作用でもある、ホルモン療法。

だけど、
もちろん、いいことばかりでもない。

私の場合、1〜2ヶ月は、
身体が注射に異常反応して、
耳の5つのピアスがの穴がパンパンに腫れて、
膿が出てきて、発熱が1週間止まらない。

注射を打った場所(お尻)は、
注射を打った直径10センチくらいの
皮膚が腫れてガチガチに固くなって,椅子にも座れない状態。

3ヶ月で生理が止まって、
でも、子宮がある時は、生理の周期がわかる不思議。

6ヶ月で声変わりが落ち着いて低音になり、
筋トレでどんどん筋肉がついて、
食欲旺盛になって、体重は5キロ以上、増加。

1年以上かけて、男性化していきました。

女性時代の体重は、56,8キロ(身長は168センチ)
ホルモン療法後は、63キロくらいが平均に。
45歳の今、現在の体重は、70キロ
(一時ストレスで、85キロまで行ったことも)

私生活では、
「あの人(性別)どっちなの?」とか、
トイレやお風呂で白い白見られたり、

「名前変更します」って、
総務部に言いに行ったら、

「おめでとうございます」って言われて、

同じ課内に職員さんが、そわそわして、

「何かめでたい報告あるのかい?」
みたいな目で見られたり、

完全に結婚して苗字が変わるのと間違われてるw

当時の課長(50代、男性)に、
「手術でタイに渡航します」って、
カミングアウトをしたら、

ただただ、応援してくれて、本当に嬉しかった。
いろんなことがあったなって思い出す。

当時、私が手術を受けたタイの病院では、
性同一性障害の診断(今は、性別不合)

男性ホルモン療法1年以上で、
子宮卵巣摘出できるって、
ルールがあったのんだけど、

実は、すごく迷いがあって。

診断後1年以上、手術に踏み切れずにいた。

なぜかというと、
臓器摘出後のホルモンバランスや、
自分のメンタルの状態の想像がどうなってしまうのか?
想像がつかなかったから。

診断をもらえて、
手術ができるような状態になっても、

ギリギリまで、
「卵巣だけでも残せないかな?」
「ホルモンバランスどうなんだろう?」
「命の母は、効果があるのだろうか?」
なんて、真剣に悩んで考えてました。

だけどやってみないとわからないことが多くて。

振り返って、今、感じていること。

45歳、男性ホルモン注射11年目の体調


FTM ホルモン療法

(1)肝機能異常
→安定せず、健康指導が入ったことも。
今、数値は適正範囲内。
(男性と女性どちらの数値?問題もある)

性別移行の時は、
特にストレスがすごくて数値も高かった。

(2)高血圧・糖尿病・体重増加
→体重は、女性時代よりも15キロ増
(中年太りもあるよね)

(3)多血症・血栓症
→脳血管疾患で亡くなったトランスジェンダーの友達もいる。女性の時は、血色素が薄くて、鉄分を飲んでいたけど、今は、数値がやや高め。

(4)倦怠感・不安・抑うつ・不眠症・眠気
→これは、めちゃくちゃあります。特に子宮卵巣を摘出してから、

ホルモンバランスが乱れて、
体の怠さ、抑うつ、不安、集中力の低下が、
ホルモン切れの時は特によく感じる。

(5)肌荒れ・皮疹
→お肌は、意外と綺麗。トラブルなし。
ホルモン療法始めに肌荒れしてる人はいた。

(6)多毛・頭髪減少
→髭が生えたのは、喜び!頭髪は、旅立っていきました
(こちらも遺伝や個人差あり!頭髪、剛毛な友達もいます)

(7)不正出血
→私はなし。男性ホルモン注射をしていて、子宮卵巣がまだあるときに、不正出血をする人もいます。

(8)卵巣機能低下・不妊症
→ホルモン療法をしていると、機能が低下します。

性別適合手術をするときに、
健康な子宮卵巣でないと、
手術ができないので、事前に日本で検査してから手術に行きました。

例えば、子宮がんなどの病気が見つかると、
先にその治療をしないと、性別適合手術ができない。

(9)アレルギーなど
→ホルモン療法が始まったときに、
身体が注射を異物として、反応して、
熱や肌荒れ、2〜3ヶ月で体に慣れてきた感じ。

子宮卵巣摘出&継続的な男性ホルモンの投与で、
下記のような影響があります。

肝機能障害、
腎機能障害、
脂質異常症、
糖尿病、
多血症、
血栓症、
骨粗しょう症など、

様々な疾患を合併しやすくなるのです。

なので、半年に1回は、
血液検査をして体調チェックをしています。

30代の時は、ホルモン療法が、
子宮卵巣摘出後は、1ヶ月に1回だったけど、

40代になってからは、
2〜3週間に1回いかないと、

身体のだるさ、
メンタルの落ち込みが激しくなってきてます。


思うこと

ホルモン投与の量や期間を、
自分の年齢や体調に合わせて調整していくこと。

そして、冒頭に書いたとおり、
2023年10月25日子宮卵巣を摘出せずに、
戸籍変更も可能になっています。

ただ、戸籍が男性になった後も、
子宮卵巣の病気の定期検診をどう続けていくのか?

行きつけの安全だと感じる病院は?
安心して話せる先生をどう見つけるのか?

などの、不安も出てきます。

いろんな知識や経験を調べたり聞いたりして、

「自分がどうしたいか?」を、
選んでいくことが大切だと感じました。

つらつらと書いてしまったけど、

今、自分の性別や生き方に迷っている人に、

何かヒントになれば嬉しいです。

私は、思った以上に、身体もメンタルも、
ひゃーって感じになっていますが、
そこは、自分で決めたことなので幸せです。

たまに、突っ走りすぎて、
疲れてしまうことがあるので、

今の自分の身体のバイオリズムと向き合って、
一生涯付き合っていくホルモン療法とも仲良く、
バランスをとりながら、末長く過ごしていきます。

長文読んでいただいて、ありがとうございます🏳️‍🌈




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