寝癖

本の感想を書いています。 なるべくネタバレは避けて書きます。

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最近の記事

渇望-遠野遥『破局』-

はじめに 今回は、遠野遥さんの『破局』についての読書メモを書こうと思います。  最近、あまり読書メモを書けていなくて…。というのも、読書の時間に対して、文章を書くスピードが遅かったり、文章を校正する時間がとてもかかったりするので、読んだ本をそのまま読みっぱなして次の本に移ったりすることが増えつつあります。しかし、個人的には読書の質を高めるためにも、読書メモの作成はとても重要だと思っていて。これからもちょくちょく書いていきたいなぁと思います(今、読んでいる本も読書メモを書くと

    • 「ラッシュライフ」を目指してーー伊坂幸太郎『終末のフール』

      はじめに 今回は伊坂幸太郎さんの『終末のフール』についての読書メモです。  最近、読書量がものすごく増えてきていて、自称読書家のつもりだったんですけど、実は伊坂幸太郎さんの作品を読んだことがないことに気づきました…読書家なんて名乗るのまだまだ遠い話でしたね。  伊坂幸太郎さんの本を読もうと思ったのも、以前、佐藤正午さんの小説『月の満ち欠け』を読んだときにあとがきを書いていらしたのが伊坂幸太郎さんで、その文章に惹かれて読んでみようと考えたわけです。(ちなみに『月の満ち欠

      • 畸形への愛―綾辻行人『フリークス』

        はじめに 今回は、綾辻行人さんの『フリークス』についての読書メモです。何年か前に綾辻先生の『眼球奇譚』を読んでから、綾辻ワールドに嵌っていきました。『眼球奇譚』を読んだときは、その設定といいなんといい、ものすごい衝撃を受けたんですが、とりあえずそれは横に置いて置きまして…。『フリークス』の感想ですね。今回もとてもおもしろい世界観を体感することができましたので、以下感想を書いていきたいと思います。 あらすじ 「J・Mを殺したのは誰か?」―巨大な才能と劣等感を抱えたマッドサ

        • 存在価値の承認―阿部公房『砂の女』

          はじめに 今回は阿部公房の『砂の女』についての読書メモです。1962年に初版が発刊されて以来、阿部公房の代表作にして戦後文学を代表する傑作として、国内外問わず有名になった作品です。  今回は少しネタバレを含みます(どうしてもネタバレを避けて書けなかった僕の力不足です)。ネタバレが嫌な方はこの記事は避けてください!他の記事を置いておくのでそちらを是非! あらすじ 砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる

        渇望-遠野遥『破局』-

        • 「ラッシュライフ」を目指してーー伊坂幸太郎『終末のフール』

        • 畸形への愛―綾辻行人『フリークス』

        • 存在価値の承認―阿部公房『砂の女』

          美術への挑戦 宇賀神修『フェルメール・コネクション』

          はじめに 今回は、宇賀神修の『フェルメール・コネクション』についての読書メモです。  むかしむかしの子どもの頃、一度、母に連れられて印象派の美術展を訪れたことがあります。当時、10歳に満たないくらいでしたので、絵を見たかったというよりは、母と出かけたかった、そんな記憶があります。印象に残っているのは、一つ一つの絵ではなく、待ち時間に母と話した内容であったり、出口の物販コーナーで「モネの『睡蓮』が好きなの」と言っていた母の顔であったりと、絵とは関係のない話でした。  それが

          美術への挑戦 宇賀神修『フェルメール・コネクション』

          「あなたは数学が好きですか?」 川添愛『数の女王』を読んで

          はじめに 今回は、以前読んだままにしていた川添愛さんの『数の女王』についての読書メモです。ここ最近、読んだ本には必ず読書メモをつけるようにしているのですが、この本だけは、読み終わった後も、なかなか感想を書く気にはなれなかったんですよね。そんなにこの本が僕に合わなかったのか…いや、その逆です。とてもおもしろかったからこそ、書くのに困っていたんです。誰しもがそうだと思いますが、面白いと自分が思った本ほど、すらすらと読むことができますよね、「勢い」とでもいいましょうか…。  

          「あなたは数学が好きですか?」 川添愛『数の女王』を読んで

          「本は人を豊かにする」 佐藤正午『月の満ち欠け』を読んで

          はじめに今回は、佐藤正午さんの『月の満ち欠け』の読書メモです。  突然ですが、こんな短歌をご存知でしょうか。  みづからは 半人半馬 降るものは   珊瑚の雨と 碧瑠璃の雨   これは与謝野晶子が読んだものです。僕が高校生の頃、課題で「君死にたまふこと勿れ」についてのミニレポートを書いたときに、「高校生に与謝野晶子が分かるのか!それならこの歌は?」と、当時の現代文の先生から教わったものでした。  久しぶりにこの短歌を思い出し、調べ物をしていたところ、『月の満ち欠け』

          「本は人を豊かにする」 佐藤正午『月の満ち欠け』を読んで

          泉鏡花『外科室・海城発電 他五篇』

           今回は、泉鏡花『外科室・海城発電 他五篇』についての読書メモ。どうだろう、誤解を恐れずに言うと、泉鏡花の知名度ってそんなに高くなくて、本が好きな人でもあまり読んだことがないような人も多くいるような印象がある。教科書の資料集の端の方に載ってたっけ?というような気もする。  読者が限られる理由として、泉鏡花の文章がとても難しい、というのはある気がする(あくまで自身の主観によるものだが)。勿論だが今の話し言葉とは全然違うため、知らない言葉もたくさん出てくるし、漢字の使い方が独

          泉鏡花『外科室・海城発電 他五篇』

          恩田陸『ドミノ』

           今回は、恩田陸の『ドミノ』を読んだ感想について書きたいと思います。 あらすじ 1億円の契約書を待つ締め切り直前のオフィス、下剤を盛られた子役、別れを画策する青年実業家、待ち合わせ場所に行き着けない老人、警察のOBたち、それに…。真夏の東京駅、28人の登場人物はそれぞれに、何かが起きるのを待っていた。迫りくるタイムリミット、もつれあう人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが倒れてゆく!抱腹絶倒、スピード感溢れるパニックコメディの大傑作!! (裏表紙より) 本

          恩田陸『ドミノ』

          森見登美彦『夜行』

           タイトルの通り、森見登美彦先生の『夜行』についての感想とそれに付随して少し。 あらすじ 私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。(Google Booksから引用) 感想 (以下ネ

          森見登美彦『夜行』

          本屋さんのひとりごと

           私はある本屋さんで働いています(アルバイトですが)。働き始めてもうすぐ1年が経とうとしているのですが、働き始めてからというもの、自身の趣味の幅だけではなく、売れ線の確認も含めて様々な本を読むようになりました。それでもお金には限界があるもので、それほどたくさんの本を読むことはできないですが…。  そこで今回は最近読んだ、相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』について触れたいと思います。  どうしてこの本を読もうかと思ったかというと、本の帯で綾辻行人・有栖川有栖、御両人

          本屋さんのひとりごと

          note始めてみた

          日頃の色々なことを文字に起こそうと思ってnoteを使ってみることにしました。 できる限り細々と続けてみようかな、と。 自分は物事を深く考え込み過ぎてしまう癖があるので、 そういったものを吐き出してみるためのものとして。 特に誰に見てもらうためでもなく、誰に褒めてもらうでも貶されるわけでもなく、 のんびりと、書きたいことを書けたらいいなぁと思います。

          note始めてみた