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短い作品

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肌感覚で短い作品をまとめています_φ(・_・
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記事一覧

【詩】 今日という最後の日

セミの命は一週間。 たった一週間で死んでしまう。 でも、セミがいなかったことにはならない。…

【物語】 アルバイター

きっかけは単純、知らないことが嫌だった。 大して欲しいものは無くて、 広い世界に出てみたか…

【詩】 きっと、夏の雲と同じ

ねぇ、覚えていますか 静かな教室、揺れるカーテン 二人で始めた交換日記 緑の表紙のタイトル…

【詩】 人柄

おはようございます、ご主人様。 本日も何なりとお申し付けください。 はい、掃除ですね。承…

砂漠の花

その花は水を必要としなかった。 ここは広い砂漠。 水も日陰もない、全てが吹きさらしの大自…

【詩】 強さの証

何も知らない他人が 私を指差してこう言うんだ。 あなたは独り、いつだって独り。 この先あな…

【詩】 名無しの生き方

僕に名前はない。 人間は、何かに名前をつける時、 必ず「意味」を考える。 だからきっと、僕に意味なんてない。 作られた意味。 生きる意味。 死ぬ意味。 そんなもの、僕にはない。 ある男が言った。 お前はガラクタだ、俺には必要ない、使えない道具に価値なんてない、ナイナイ尽くしのお前にこの家は分不相応だ。 僕は家を追い出された。 僕を拾った女が言った。 あなたは何の能力もない、あなたに比べたら私の方が断然優れている、優れているから生きる価値がある、誰に何と言われても

【詩】 一匹オオカミの妄想

満たされない 満たされたい、この空白を それは欲で自己顕示 手に入れたのに自己嫌悪 いつだ…

【詩】 影

一歩進めば付いていき、 一歩下がっても付いていく。 そう、ぼくは影。 キミの後ろで、ずっと…

【詩】 赤いゴム風船

最初はしわしわ、ただのゴム。 吹き口を咥えて。 たくさん、たくさん空気を入れて。 赤い風船…

【詩】 吸血鬼の向日葵

きっと、ぼくは太陽に嫌われている。 暑いし、 肌は焼けるし、 ぼくの命を溶かしてしまう。 …

【超短編】 芽を摘む

ボクはとても小さな花の種。 先日、ふかふかの花壇に植えられて、育て主が水をくれたところ。…

【詩】 夜行性

暗い部屋に沈むのに慣れて カーテンは永く締め切られたまま 薄い液晶テレビの光 小さなデスク…

【詩】 壁の向こう側へ

大きな壁にぶち当たるたび 回り道を探していた できるだけ傷つかないように 労力が少ないように 目の前の壁を尻目に逃げ出して 壁の向こうに行こうとした 時間が傷を癒すから、と 急がば回れ、と 自分に言い聞かせて 壁から目を逸らしていた だけど それを認めてくれる壁ばかりじゃない 回り道はいいけれど 言い訳して見つけた回り道は ただ時間だけを浪費させて 僕を先には進ませない 回り道する場所によって 努力は報われないこともある だからいつも自分に再確認 この回り道でい