見出し画像

【詩】 人柄

おはようございます、ご主人様。

本日も何なりとお申し付けください。

はい、掃除ですね。承知しました。
え? この帚を使うように、ですか?
......畏まりました。
それでは、部屋の隅から廊下の端まで、綺麗にしますね。

そろそろお昼ですね。食事の用意を致します。
本日は遥か西方の国の料理に致しました。
え? 美味しい、ですか?
はい、お口に合ったのであれば、私としては大変喜ばしくことなのですが......。


書類整理ですか、お手伝いします。
わわっ、文字を書き間違えてしまいました。
え? 修正液で書き直せばいい?
そうですか。では、おっしゃる通りに。


ご主人様は不思議な方ですね。
お亡くなりになった以前のご主人様とは、全く違っておいでです。

以前のご主人様は、
私の服で床を掃かせて、
何を作っても「口に合わない」と仰って、
少しの間違いに目くじらを立てていらっしゃいました。


貴方様はそのご主人様のご子息なのに、
私を「同じように」扱わないのですね。

いえ、私の扱いがあまりに違っていましたので、この気持ちに慣れていないだけです。

どうぞ、ご主人様はご主人様の気の赴くままに。

私はただ、ご主人様に付き従うのみです。



結局は、人柄、人格、人徳