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埼玉のソウルフード、娘娘のスタミナラーメン

わが武蔵浦和に娘娘(にゃんにゃん)が新しくできていることを知り、喜び勇んで食べに行った。自分にとっては高校時代に北浦和で散々お世話になった店である。

あっさりしたスープの上に、かなり激辛のあんかけが載っているのだが、久しぶりに食べてみると、案外甘味もある。昔はもうちょっとニンニクと生姜が効いていた気もするが、ゴロゴロと入っているひき肉の量の意外な多さは相変わらずで嬉しい。
昔は汚い店だったが、随分店内は清潔になった。セルフサービスの掟もなく、券売機でチケットを買うので、初心者にも入りやすくなった。

うちの高校では、1年生のときに部活の先輩に誘われてここのスタミナラーメンを食べ、生まれて初めて激辛を体験するというパターンが多かった。平然とこの辛さを乗り越えられるようになって、ひとつ大人への階段を上がったという気になったものだ。
夢中になってスタミナラーメンをかきこんでいると、自分はいまラーメンを食べているというよりは、16歳の頃の記憶を食べているのだなと思った。40数年間変わらずに娘娘が存在してくれるのは本当にうれしい。この味でいつでも昔に一瞬戻れた気になる。

食べていてふと思ったのは、この味は音楽でいうとクラシックじゃなくて完全にロックだなということである。刺激の強い味だから、受け身では負けてしまう。攻める気持ちで立ち向わないと。この手の食べ物はみんなそうだが、熱々の難敵だからこそ、完食したときの征服感に醍醐味がある。

当時はソウルフードなどという言葉さえ存在しなかったが、いつの間にか埼玉(浦和、と言いたいところだが)を代表する知る人ぞ知る庶民派中華料理店として確固たる地位を確立したのは、喜ばしい限りである。

今どき風の店の構えだが、メニューはほぼ昔のまま

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