美の求道者がつくり上げた世界〜【Opera】新国立劇場『オルフェオとエウリディーチェ』
グルックはいわゆる「オペラ改革」を行った作曲家として音楽史にその名を残す。バロック時代を通して、オペラ・セリア(正歌劇。古典的な題材をもとしたシリアスな内容を持ったオペラ)は歌手の声の技巧を重視するあまり、派手な装飾が多用された長大なダ・カーポ・アリアによって、「劇」の緊張がおざなりにされてきた。グルックはそれに異を唱えた。彼は「音楽は詩、すなわちドラマと人物の心の表現に奉仕するべき」という考えのもと、ダ・カーポ・アリアをやめ、ドラマと関係のない技巧的な装飾を廃した。グルッ