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手のひらサイズの幸せ 

 夜勤明けの朝は、家に帰ってすぐシャワーを浴びる。そして、朝と昼をかねた食事をゆっくり食べ、夕方まで眠るのがその日のルーティンだ。
 髪を乾かした後、バケットを二センチの厚さに切って、スライス玉ねぎとチーズを乗せてトースターで焼く。冷凍保存していたカボチャのスープを解凍して牛乳を入れて温める。微糖のヨーグルトに小さくちぎったバナナを入れ涼しげな器に盛る。コーヒー豆を挽いて沸きたてのお湯を注ぎ、牛乳と合わせてカフェオレにする。そして、食後デザートにチョコレートを食べる。

 食べ終わり寝ようかと思っていると、ケーブルテレビで「救命病棟24時」のシーズン2が一挙放送されていた。江口洋介さんと松雪泰子さんが出演されている大好きなドラマだ。江口洋介さんが演じる進藤先生は「ひとつ屋根の下」の熱い兄ちゃんとは真逆の、クールで優秀な救命救急の医師。進藤先生と、プライドが高い脳神経外科医の香坂先生(松雪泰子さん)との掛け合いも面白い。反発しながらお互いを認めあっていく過程が、これぞエンタメ!という感じで私は好き。医療、命、院内政治など基本硬派なドラマだが、それに彩りを与えるほのかな恋愛要素の割合が、西瓜にまぶすひとつまみの塩くらいで丁度いい。


 今日は午後から、久しぶりに読書会に参加した。開始時間まで時間があったので、暑さを凌ごうと近くのショッピングセンターに入った。そして、昼食に軽くうどんを食べた。食べながら、今日紹介する本の事も考えていた。紹介するのはエッセイだから、どのエピソードを話そうか、どう伝えたら分かりやすいだろうかなど、日頃動かさない脳の筋肉をフル活動した。
 読書会の参加者は男性2名、女性5名の計7名だった。自分の好きな本の紹介をして、それを聞いている人が順番に感想や質問を言い、発表する人がそれに答えていく形だ。司会(ファシリテーター)の方が参加者全員が話せる雰囲気を作ってくれたので、消化不良を起こすこともなく、心地いい時間を過ごせた。


 休日の、楽しい時間はあっという間に過ぎた。しかし、今夜は日曜劇場「VIVANT」がある。堺雅人さん、阿部寛さんなど、日曜劇場常連の豪華な役者さんが出演されていて、前評判が高い番組だ。昔から、スパイや諜報機関系の小説が好きなので、陰謀に巻き込まれた商社マンと、その闇を暴き商社マンを守ろうとする公安の、国を跨いだ壮大な物語もつい見てしまう。(ちょっとお腹いっぱいになるのは否めないが)
 また、木曜日にある「ハヤブサ消防団」は劇団出身の癖のある俳優さんが揃っていて胸をくすぐられる。主演は中村倫也さん、ヒロインは川口春菜さん。消防団のメンバーは、橋本潤さん、生瀬勝久さん、満島真之助さん、梶原善さん、福田転球さん、そして、「エルピスー希望、あるいは災いー」でその存在を知り、目が離せなくなった俳優、岡部たかしさんもいる。(エルピスは超硬派なドラマで心を鷲掴みにされた)「ハヤブサ消防団」は、のどかな集落で次々と事件が起こる、池井戸潤さん原作のミステリー作品で話もいいが、何より俳優さんを鑑賞する楽しみに打ち震えている。

 
 
 私はこんな日常が幸せ。仕事があって、健康でいれて、好きなドラマや本を楽しめて、軽く外食もできる。仕事や家とは別の居場所もあって、心の健康も保たれている。手のひらサイズの幸せがあれば、笑ってられるのだ。

 
 

 今夜の一曲は「ドラマ救命病棟24時」の挿入歌。
 bird「flow」

甘い夢の続きは幼すぎて
淡い君の笑顔は遠い日のうた

いつだってそれは心をすり抜けて
いつしか色褪せてすれ違ってく

あてにならない言葉を紡いでみる夜

bird「flow」

 

 今夜は土用の丑の日だから、奮発して国産の鰻を買って食べた。好きなものに囲まれて、最初から最後まで良い日だった。

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