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[WS TIPS for PRO ] B. スペースと時間の線引き:DIYワークショップとプロ現場は混在できるのか?

以前の記事 、[WS TIPS for PRO ] DIYワークショップでの施工範囲と、プロの施工範囲の線引きでは、プロとDIYの線引きの必要性について書いた。


DIYワークショップを、実際に住宅や店舗がリノベーションされる工事現場を舞台に開催する際には、プロとDIYの間に「線引き」をすることが大切です。
A. 施工範囲の線引き
どこまでをプロが行ない、どこまでをDIYワークショップで行うのか。
B. スペースと時間の線引き
DIYワークショップを、現場のどこで、いつ行うのか。

本記事では、B. スペースと時間の線引き:どこまでをプロが行ない、どこまでをDIYワークショップで行うのか。について詳しく書いていこうと思う。

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10年近く前、私たちの初期の現場でこんなことがあった。小さな住宅の現場だった。住まい手家族とつみきチームは「廊下」の塗装を一緒に行い、同時に、廊下に隣接する「4畳半の小さな部屋の床」を、プロの大工さんが施工していた。施工場所が異なるので、同時並行も問題ない目論見だったが、甘かった。

大工さんは、床材の切断作業を、私たちが塗装を行う「廊下」を通った先にある勝手口を出たポーチで行っていた。床を張る4畳半の部屋は加工するには狭すぎるからだった。

結果、大工さんは床材を切るたびに、塗装中の廊下を往復した。お互いに声をかけて体を避けたり、床材が塗りたての壁につかないよう、随分と余計な気と時間を使わせることになった。大工さんのスムーズな仕事の妨げになると考え、塗装DIYを一旦切り上げ、お施主さん家族に謝って、塗装ワークショップは別の日に変更させていただくことにした。

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この日の私たちに足りなかったのは、2つの配慮だ。

1. 【時間】or【スペース】を明確に区分すること
2. 現場の職人さんと事前に話し合うこと

これらの配慮を欠いたことで、現場でDIYワークショップを行うことが、職人さんたちの仕事効率の妨げになり、お施主さん家族にも気を使わせることになってしまった。残念ながら、私たちが目指す「ともにつくる」とは程遠いものだった。ワークショップの前に必ず行いたい2つの配慮を詳しく見ていきたい。

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1. 【時間】or【スペース】を明確に区分すること

工事現場でDIYワークショップを行う時には、DIY作業と、プロ作業を行う【時間】または【スペース】を明確に区分することが大切だ。

【時間】を区分する方法が最もシンプルだ。職人さんたちが作業する日(または時間)と別日でDIYワークショップを行うことができれば、両者が物理的に衝突することはない。例えば、日曜日なら、両者の日程が被ることは少ない。

【スペース】を区分する方法も、両者の作業スペースが十分に取れる場合なら、可能だ。この時、上記の失敗談からもわかる様に、「作業場所」を明確に区分すると同時に、両者の「動線」が頻繁に交差しない様、配慮することが大切。

2. 現場の職人さんと事前に話し合うこと

そして、時間やスペースの区分と同じくらい大事なのが、現場の職人さんと話し合うことだ。いつ、どこでどんな作業をやりたいのか、事前にしっかりと話して、意見交換をしよう。作業上んなことに気をつけると良いか、作業のコツなど、いつも現場にいるからこそ分かるアドバイスも聞けるかもしれない。

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しっかりと事前の線引きを行い、共有することで、工事現場でのDIYワークショップは、関わる全ての人にとって、有意義なものになる。

最後に少し余談だが、つみき設計施工社のワークショップでは、【スペース】を区分する方法を取ることも多い。それは、DIYワークショップは、家族と職人さんたちが顔を合わせる絶好の機会でもあるからだ

「つくる人が、この家族のために作るんだと思える」こと、「住む人がこの人に作ってもらってるんだと思える」ことは、お互いにとって幸せなことだと思う。ワークショップが、つくる人と住む人の間に、暖かい関係を生むきっかけになればと思う。

(おわり)

**この記事は、SNSでのシェア歓迎です。必要な人に届けることができたら幸甚です。無断転載はお断りします。

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