かかりつけクリニック以外からの処方により副作用誘発のリスクがあるためトレーシングレポートで報告した症例

この患者さんは、10年ほど前?脳梗塞発症し、血管性認知症を認め、認知機能低下が少しづつ進展している。
脳の萎縮については、MRI検査より年齢相応とのことで、薬の投与は無いまま経過している。
娘さんが近くに住んでおり、毎日お仕事終わってから患者さんであるお母様の様子を見るために訪問して下さっている。ご主人はずいぶん前に他界されており、現在独居。
だけど・・・
独居だからと言って寂しそうでは全くない。
親しい友人がいらして、毎月1回は友人と映画を観て食事をしたり、趣味の麻雀を楽しんだり~ いつも笑顔でチャーミングな方。
居宅を初めて1年半くらいになるのかなぁ~
短期記憶障害を認めるが、かかわった頃からと比べてもそんなに大きな変化はないと感じる。
決まった場所なら迷わず行って帰れる。電車にも乗れる。
お金の計算はできる。ただ・・・支払ったかどうかはすぐに忘れてしまうのだけど、かかわった頃からとは大きな変化ない。
食事も、何を食べたかは思い出せない。でもこれも大きな変化はない。
服薬は、ヘルパーさんやご家族の介助がないと困難な状況だけど、これもかかわった頃からと大きな変化はない。
なので、認知機能低下の進展はそんなに無いだろうなぁ~と患者さんと接してても感じている。って考えるとあえて認知症治療薬は投与せず経過みて良いのかなと。
ある時、右足の第5指側面付近に魚の目?らしきものができて痛かったらしく、ご本人おひとりで、ご家族にも誰にも言わずに、整形外科へ。
訪問した時に、テーブルの上にエディロール0.75μgが置いてあって気が付いた。えっ!!なんで!!
ご本人に事情を聴いてなんとなく経緯がわかって~
ご本人はいつに行ったかは覚えてなかったのだけど、薬袋も置いてあったので、それで確認できた。明細も確認したかったが・・・残念ながら見つからず。明細から検査内容などわかるし期待したけど無理だった。
結局・・・
魚の目?の処置してもらって、どうも骨密度も測定したら低かったためにエディロール0.75μgが処方されるに至ったようだ・・・
薬袋があったので、その薬局の処方元なら○○整形外科だってわかって。
エディロール0.75μgかぁ~ うーーーーーん。これはちとまずい。
って事で、トレーシングレポートで情報提供することに。
この整形外科受診の約2か月前に脳神経内科で採血をしており、
eGFR50  Ca10.0  
ADL自立だが、自宅にいてほぼ座ってテレビを観ている事が多い状況なので、筋力低下が進んでいる可能性あり。食事内容も炭水化物に偏っており蛋白摂取が少ない傾向。過去にひざの手術もしているので、歩行できないわけではないが、しにくい様子。
って事を考えると、実際のeGFRはもう少し低い可能性もある。もし胃腸炎で脱水になったら、eGFR低下によりさらに高カルシウム血症リスクは高くなる。
なんて事を色々考えると、エディロール0.75μgだと高カルシウム血症リスクが高く、さらに腎機能低下を招いてしまう。他にも骨粗しょう症の薬はあるのだから、エディロール減量か、他剤への変更を検討していただくか・・・
って事で実際のトレーシングレポートは~
検査値は参考値ですのでご了承ください。

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