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観てきた!25年ぶり!の静岡県立美術館で「大展示室展」

2022年4月、長期休館を経てリニューアルオープンした静岡県立美術館
いま、まさにオープンしたてほやほやだからこそ実現した、ちょっと変わった展覧会が話題になっています。ご存知でしょうか。

タイトルは そのものずばり、大展示室展 です。


わたし、どーしても観たくて、つい先日、東京から足を伸ばして行ってまいりました!!!

ということで今回は、「大展示室展」と、個人的にも思い入れと思い出が深い、静岡県立美術館の魅力をご紹介させてください!

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そもそも「大展示室展」ってどんな展覧会?


ひと言で言えば、展示室の"機能"にフォーカスした企画
つまりこれを観れば、ミュージアムと展覧会の見え方がひと味変わるような、へ〜!が散りばめられた展覧会  と言えるでしょう。

作品を展示するための「ハコ」である美術館の展示室には、安全に、そして快適に作品を見て頂くために、実は色んな工夫が込められています。
本展では展示室の様々な機能を一挙にご紹介します。作品を入れるケ一ス、壁、台車、道具、照明等々、普段はひっそりと身を隠す美術館の裏方を、どうぞご覧ください。

https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/exhibition/detail/92

特に、資格取得を目指して学芸員課程を履修されてる方々には、本当に心の底からお薦めしたい!と思いました。

ほんとにタイトルの通り、主役は 作品ではなく、展示室と裏方の品々たち
普段はほぼ語られたり解説されたりすることのない、でも確実にミュージアムに欠かせないものたちを紹介している展覧会なのです。

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展示室の展示、というちょっと珍しい試み、実は過去にも何度か行われてはいます。

記憶に新しいのは、世田谷美術館の「作品のない展示室」でしょうか。2020年夏に1カ月だけ行われていました。

ただ、こちらの企画意図は、作品が何も展示されてない展示室の建築や、窓からの景色・風景を味わうこと、そして過去の展示活動の紹介が主でした。


また、大阪市立美術館でも、2021年夏、展示室と展示ケースを主にした特集展示が行われてました。

こちらは、2022年度の大規模改修で姿を消してしまう展示ケースと、85年もの館の歴史にスポットが当てられた企画でした。

ということでどちらとも、展示室の"機能"にフォーカスする、という「大展示室展」の企画とは趣旨がちょっと異なっていますよね。

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その一方で、今回の静岡県美のように、館の大規模な改修・リニューアル工事はまぁまぁの頻度で定期的に行われています。

なぜなら、ミュージアムは展示・収蔵作品や資料の保存のため、24時間365日 空調をつけっぱなしにしているので、メンテナンス必須だから。

ちょうど長期休館している横浜美術館でも、館内のバリアフリー化などと合わせて、空調設備のメンテナンスが行われてますね。


で、晴れてリニューアル工事が完了!さっそくオープンだ!と、すぐに作品を搬入して展示をしてもいいか、というと、実はダメなんだそう。

わたしも今回初めて知って納得したのですが、専門用語(?)で「枯らし期間」と呼ばれる、内装工事などで使用した塗料や接着剤などが、展示する作品に影響を及ぼさないようになるまで、環境を安定化させるための期間が、必ず必要なんだそうです。
確かに、完成してから数百年も経つような貴重な作品や資料たちに、予期せぬ万が一のことが起きてしまったら・・・恐ろしすぎます。最大限かつ細心の注意を払ってのこと、なんですね。

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ということで、ここまでの話をまとめますと・・・

長期間、展示室が空っぽになることは、どのミュージアムにも起こり得る。でも "せっかくだから、展示室の様々な機能を主役にして展覧会をやってしまおう!"という発想の転換的な企画を実現させた館って、これまであるようでなかった!んですね。

ステキです!静岡県立美術館!!!

エントランスを入ったところ 神殿のようです

観覧料は、なんと一般300円。70歳以上および大学生以下は無料。そして展示室内はすべて撮影OKでした。いろいろ太っ腹ですな!!!

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いざ!展示室へ!


広い広い展示室内に入って、最初におお!と思ったのが、格子状の影がうつる、真っ白で巨大な稼働壁。

影がきれいだなぁ と 見上げてしまいました

この照明のセッティング、作品を展示しているときにはあり得ない光景ってこともあって妙に新鮮でした。

そう そもそも壁があちこち動くんですよ ご存知でした?
壁が動くので 展示室も変幻自在  でもレイアウト考えるの大変そう
どこを撮っても なんだか影が美しかったです


最初の展示室には、欠かせない設備の解説が。

毛髪(!!!)で測る温湿度計。皆さまも展示室のすみっこで観たことありませんか?

これこれ  観たことありませんか?
ハイテクとアナログのハイブリッドで計測してます

万万が一の消火設備は、作品へのダメージを防ぐため、特殊なガスが噴射されるタイプ。
噴射口がひっそりと、天井のあらゆるところに、ほぼ等間隔で設置されていました。知らなかった。

地下駐車場の消火設備などと同じタイプでしょうか

普段は全く気にしてなかったですが、空調の吸い込み口はガラスケースの下、こんなところに。知らなかった。

完璧にカバーされて なかったことになってます


少し前、千葉県立美術館の展示室で見かけて、え?何でここにペーパータオルホルダー?と気になっていたゴールドのこちら。正体が知れてスッキリしましたw

そっか!センサーだったんですね!!!


設備などの展示解説パネルだけではなく、「ミューズスタッフのつぶやき」なるパネルも、ツボを押さえた解説で、楽しく読めました。

最初はやっぱり このギモンですよね

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次は展示ケースや、作品の輸送にまつわる品々の紹介です。

このあたりのアイテムは、学芸員課程の博物館実習で、ヤマトさんからレクチャーいただいた時に現物を拝見したことがあります。素晴らしい職人技だ、ととても驚きました。

お布団 大事なんですよ  サイズもいろいろ


紙製の保存箱 多種多様なタイプが揃ってます



万が一、どっかから害虫が侵入してないかどうか、をモニタリングするための 専用ホイホイ も紹介されていました。とっても大事、これ。

木箱も 作品のサイズに合わせて準備されます

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その先には、展示作業や展示そのものにまつわるアイテムが。
作品を吊るすワイヤーや、作品の移動に使う台車などが紹介されています。

展示に使う工具や、監視員の方々の備品まで、くまなく展示してくれてました。興味深かったです。

普段は絶対に壁に隠れてる、バックヤードもちらり。

雑然としてる感じ、リアルな現場の雰囲気がわかって良かったです

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展示もいよいよ終盤。いわば展示の仕上げ、照明効果にまつわるエリアです。

言われてみればなるほど確かに全然違うー!!!とよくわかる展示の工夫が随所にみられて、とても素晴らしかったです。

照明の色で 作品の見え方がぜんっぜん違う、とわかりやすくなってる展示や
足元のスイッチを切り替えて、3種類の照明の効果を検証できるコーナーも
照明エリアは特に 体験型の展示がたくさんありました

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そして最後が、館の歴史を、貴重な資料群で振り返るエリア。

静岡県美の構想が持ち上がった当時の建設案や
オープン時の広報誌や 新聞に出稿された広告案も
プリンタ出力もいいけど 毛筆手書きは特別感が増す気が


そして、ロダン館のオープンにまつわる展示もいろいろと。


いやいやいや、見ごたえたっぷり。
作品が一切展示されてなかったですが、観終わるまで1時間半かかりましたよ (はい、たぶんわたしが時間かけ過ぎなだけです)

この「大展示室展」と同じくらい、訪れるのを楽しみにしていたのが、「ロダン館」でした。

先日もこちらの記事にちらりと書いた、あの、ロダン館です。

そう、再訪はまさかの中学生のとき以来。25年くらいぶりでした!!!

当時はたぶん1時間も満たないような見学時間だったでしょう。でも、今でも鮮明に思い出します。本当に作品の美しさに驚いたし、とっても楽しかったんです。もちろん今でもロダンの彫刻、特に大理石の作品が好きです。

こちらのお話しと、静岡県立美術館の魅力は、随分と長くなりそうなので、近いうちにまた書きます!

やっぱり大好きでした、ロダン館


★追記:5月5日に書きました!!!

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まとめ


今回の記事だけでも、静岡県立美術館の魅力が、少しでも伝わっていたなら嬉しいです。とにもかくにも、静岡県立美術館の「大展示室展」、5月15日(日)までです。ぜひぜひぜひ、足をお運びいただけると嬉しいです。


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