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読書感想:バナナの魅力を100文字で伝えてください

読んだきっかけ

会社の同僚から「実践的な伝え方のノウハウが学べる本」としてオススメされていたのと、「君たちはどう生きるか」の漫画版の編集に柿内さんが関わっていたのを知ったため。

コミュニケーションを生業としている身でありつつ、日々「伝える」ことは難しいなと感じる。

「そういうつもりじゃなかったのに」
「ん?これ伝わってないな」

と感じることは日常茶飯事だし、

ニュースに対するツイートやYahoo!ニュースのコメント欄などを見ても、全く関係ない話題と結び付けられていたり、必要以上に深読みされてしまっている投稿もよく目にする。

前提となっている知識が違うのだからそれは致し方ないのだけど、本書はそうしたギャップを解消する実践的なノウハウをまとめた書である。

総括

冒頭にも記載したように、柿内さん自身がこれまでの経験を通じて見つけた法則やテクニックを、身近な例とともにまとめている本だ。

非常に分かりやすく、読みやすいので読み終えるのに時間はかからないが、自分のこれまでに置き換えて考えながら読んだので、それなりに時間を要した。

構成としては、
・「伝える」とは何か
・構造的にはどうなっているのか
・何故「伝わらない」のか
・「伝える」ためのテクニック
・「伝わらない」時の対処法
などが分かりやすくまとめられている。

以下は、「伝わらない」理由として、頻度と量が不足していることを説明している箇所の一節だ。

一度で伝わらないとき、それでも伝えたいのであれば「繰り返し伝えること」が必要です。

ただ、何度も繰り返すのはけっこう面倒です。なので、何が伝わって、何が伝わっていないかを確認する時間を作ってみてください。

【1度伝えただけで伝わったと思うのは危険】p.37

こうしたノウハウ本では、「だからお前はダメなんだ」と言われるような圧を感じてしまうが、この本は非常に優しい。ちゃんと面倒臭がりな僕のサイドで話を展開してくれる、という感覚があった。

後半の方で、色々とテクニックの種明かしがあるが、確かに自分としても「聞こう」という姿勢になったし、「なるほど、そういう事か」と腹落ちする感覚もあった。(この一節の後に忘却曲線の話が出てくるが、確かにあんまり覚えてないものだなーとしみじみ思った。)

一方、プロをもってしても、「伝える」難しさは随所で感じることができる。

というのも、書いてある例に対して「本当にそうかな?」と思う部分もあった。

文末に「自分だけのノウハウを作り上げてください」といった事が書かれていたが、こうした疑問に思う部分は繰り返し読んで、自分なりに解釈していく必要があるのだなと感じた。

気をつけねば役立てたい

上記以外にも柿内さんの豊富な編集経験の中で身につけた相手から引き出すコツが非常に勉強になった。

該当箇所は後半の「話が広がらない人への対処法」の中で語られているが、 自分の仕事のこれまでを振り返っても上手く引き出せないことが多々あった。

そんな時、自分は「質問をずらす」ことをしてしまいがちだったけれど、「深める」スタンスだったり、「ど真ん中の質問」を投げかけてみる事が出来ていたら、かなり違ったのだろうなと思う。

今後も定期的に読み返して、自分の血肉にして行きたいと思った。




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